私もインドで目が覚めた(5)〜カジュラホー村で休息と瞑想を〜


 やっとバスは、カジュラホー村にやってきました。それにしても、すごいバス、すごい道のり。よくもまあ・・こんなのに揺られて?いや飛び跳ねて、何度も何度もぎょっ!としながら・・、ちゃんとたどり着けたものです。
バラナシからの夜行列車が、窓が閉まらなくて寒くてたまらなかったこと。(冬の北インドの夜はホント寒い!)大奮発した1等寝台なのに、毛布も布団もない冷たいビニールシート。眠れないし、風邪まで引いて、と不満ブーブーだったのに、実にさわやかに消化?していきました。このバスに比べれば“すばらしい乗り物”であったし、無事到着という目的をちゃんと果たしたこのバスも、“リッパ”ですよね。きっと!

 さてカジュラホー村は、まず、エロティックな男女の合歓のミトゥーナ像が刻まれた寺院群で有名なところ。また、バラナシとタージ・マハールがあるアグラという“2つの大都会”の中間にありながら、それらとは全く違った田舎の雰囲気と素朴さがあるところ。田舎を覗いて見たかった私は、この村に寄り道を決めたのです。そしてホントにその通り、この村は、青く澄み切った空で、クラクションやバクチクの爆発音のない、のんびりした風景を見せてくれました。
 ところでそのエロティックな彫刻の話しを少し。登場するのは、人間だけじゃないんですよ。ヒンズーの神の牛さんや他の動物たちもいるし、とても人間ワザと思えないこんにゃくのような姿態のからみであったり。何でこんなところに足があんの?って感じなのです。バラナシの映画館で観た、めったに見られないという“女性の水着姿”にため息する男たちとあまりのギャップ。かつて、インドは性に対しておーらかであったのでしょうか??
 「ここにはハネムーンのカップルもよく来るんですよ。ほらね」
とニャッ!と笑うのは、さっきからついて来て勝手に説明してくれるシバさん。いかにも新婚さんらしいふたりは、手をしっかり握り合っています。男は、ちょっとあか抜けしたトレーナーとズボン姿に、彼女は色鮮やかなサリー。アッ!彼女の手足の色がヘン!ビョーキ?・・よく見ると、それは細かく描かれた奇妙な模様です。驚く私に、シバさんは笑って“花嫁さんの幸せを願ってのおまじない”だと教えてくれました。
そう言えばバラナシで、時々口から血を吐くフロスカムを、げ!この人ビョーキなんだ!と思っていたのです。その正体が“噛みタバコ”と知って、ホッとしたことが脳裏に浮かびました。ははは。

この村でもたくさんの子供たちが活躍しています。貸自転車屋やチャイ(ミルクティー)屋、エロティック彫刻の絵はがきや置物を、どーだどーだ!?
子供だと思って油断すると、ガツンと?やられます。大胆なものほど価値あるらしく、こっちが、ふ〜ん、と相手にしないと、もっとスゴイのがあるんだと、戻ってまた持ってきたり。わけがわかっているのか?いないのか、不明であるけど、小さくて痩せこけた体にパワーを感じる私でした。
 ここで出逢った宿は、貴重な“ホット”シャワーが出るレイクサイドホテル。個室でナント1泊が500円!オーナーのティワリさんは日本語が話せるし、数人の日本人も滞在。久々にやすらぎ?を感じる宿を見つけました。
 「ここに瞑想ルームをつくりたいんだ!」
それは、いつもはのんびりムードのティワリさんが、瞑想のことを、熱く語り始めたときのこと。
「そうだ!キミに瞑想を教えてあげよう!・・こっちに来て、こっち!」
と突然彼は立ち上がり、珍しく?ゴーイン。でも、せっかくインドに来てるのだから、瞑想にふれるのはいい機会です。でも・・でもですよ、彼が案内した所は、薄暗く狭い密室・・。ゲッ!・・。
「さあさあ、ここに座って・・」
と早速私を座らせるティワリさん。
「まず目を閉じて、深〜い呼吸を。・・雑念を少しづつ取り払ってェ・・」 (続く)

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