私もインドで目が覚めた(3)〜ウソと愛嬌がうずまくバラナシ〜


うるさい客引きたちの声をぶっちぎって暴走?した彼は、今度は急に止まり「ノープログレム!」と得意満面に振り返りました。私の内心はホッ!。
 「ところで・・クミコハウスの逮捕の話、本当?」
「んー知らないけど、そーなんじゃない。でもノープログレムだよ。もっと安くていいとこ紹介してあげるからサアー!」
あとで知ったことによると、クミコハウスの人がドラッグで逮捕されたという話はまったくのデタラメ。逮捕どころか、オーナーはドラッグに関してとってもキビシイとのこと。自然に日本人を集めてしまうことが、彼らにとってはオモシロクナイことなのでしょうね、きっと。

 フロスカムの紹介で宿が決まると、今度は
「1時間5ルピーで雇わない?。案内するから」
そーら、きたきた、なるほど、最初は2ルピーでつっておいて、そーいうワケ。でも、ヒト1人束縛して1時間25円とはネエ・・。こうして、私と彼の“新たな関係”はスタートしたのです。
 まずは昼食。フロスカムは私にと、ヤキソバのようなものを注文。そして彼自身は、“3種類のカレーとサラダとヨーグルトとパン”という美味しそうな大皿。しかも私が払ってトーゼンの顔。カルカッタでラッキーだっただけ、これからはボンヤリしてられないゾ・・私はキモに命じたのです。
 町を案内して貰って、そろそろまたお腹が減る時間、さてどーする?また私におごらせる?とココロを探っていると、
「夕食は我が家でごちそうするよ」
と意外な発言。フロスカムは私を、自分の大家族に紹介し、おいしい家庭のカレーをごちそうしてくれたのでした。

 「どーしたの?そのカッコ」
それは、カンジス川からの日の出と沐浴を見るために約束した早朝のこと。インドといっても2月、北地方の朝晩は、意外にも冷えこむのです。
「1時間も前から・・ずっと待ってたんだ。他の客引きに連れて行かれたら心配だから・・」
毛玉いっぱいのブ厚いショールを頭からかぶり、うるうるの目で“こんなに冷たくなっちゃたよ”と手を差し出すフロスカム。演出?かもしれないけど、昨日の夕食のこともあるし、何だか憎めないヤツです。が・・次の瞬間、目が覚めました。
「え!200ルピー!?」
船に乗った方が、日の出も沐浴もキレイに見えるからと言うのです。高すぎるよ、と言うと、交渉してあげる、と彼。アンタたち、グルでしょ!と思いながらもあまりのしつこさに根負け、100ルピーで船にのる私。・・たかが1時間ぐらい船に乗るだけで、そんなにするはずないじゃない、ホントに大バカもの! しっかしこの一件で私のサイフのヒモは固く固く閉まったのでした。

次は、ぜひおすすめしたい映画鑑賞の話。一般的にテレビは普及してないインドでは、映画が最も気軽な娯楽です。映画館の前は、上映時間を待ちに待つ人で、もーすっごい混雑。金額は6ルピー(30円)から、8ルピー、10ルピー、そしてファーストクラスと呼ばれる最上階で15ルピー。
 私にとって、3度目になる映画はファーストクラス体験となりました。すると、警備員風のおやじが、重々げな鉄格子のカギを開けてくれます。いままでとは違うゾ!・・なんだかワクワクです。
そこは、ボロだけど多少クッションのあるロングのソファ、スクリーンは真正面。“こりゃいいねえ!”と喜んでいると、どんどん人が増えてきて、これでもか!とギューギュー。席と席にしきりがないし、汗ばみあった体はネトッ。人数を数えてないのぉ?・・数えるわけないっか・・自問自答している内に、幕は上がりました。
私が出逢ったインド人って、私よりやせて小柄なのに、俳優さんって、みんな大柄で太めなんですよ。それに肌の色だって白めの人ばかり。それが美しさ、豊かさの象徴なのかな・・と思っていると、スクリーンには珍しく女性のセパレーツ姿が・・。館内“ホーウ・・”とため息。となりのフロスカムの友人が、釘付けの状態で「ビューティフル・・ワンダフル!」とボソッ。宗教柄の水着姿なんて、そうはお目にかかれるものでないのです。それにしても、セパレーツの切れ目からお肉がプニョッ、ブルマのようなヘソ上パンツで微笑む女優さん・・うーん、こっちが恥ずかしくなりそーです。そして、いつも突然割り込んでくる(ように思える)ヒンズーダンスが愉快に始まりました。 (続く)

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