私もインドで目が覚めた(2)〜ドラッグで逮捕!?〜


 なにも・・こ、こんな時にい・・停電しなくても・・。顔面ソーハクになってることが自分でもわかる・・。
「ねえ・・これってどのくらいで直る?」
「さあねえ。一晩つかない時もあるからね・・」
そう・・ここはインド。
「停電なんて、いつもだよ。気にしない、気にしない。ほら・・、乾杯しよう!」
 生きた心地のしない・・とは、まさに今。重たく長〜い時間を、ぬるい水割りをチビチビなめ、電気が点くことをひたすら祈る私。そしてどのくらい経ったでしょう。窓の外で、一点の光が見えました。と思うと部屋もパッ!
「へえ・・、今日は早い、すごいぞ!」
と感心してるモハメッド。そして、すぐ学生たち4人がやってきました。
「停電でしたねえ・・。あっ、はじめまして」 とのんきそうに。
学生たちとモハメッドはすぐ意気投合したようでした。安宿の一室は明るく楽しいパーティ会場になり、『ホントによかった・・みんないい人で・・』私は、心から感謝と“反省”をしたのです。

  夜のカルカッタ・ハウラー駅は、キョーレツなオーラが漂っていました。ボロを巻き付けた生活者が空間という空間をドードーと占領しています。私は、ぶしつけな視線を浴びながら、ホームの掲示板を探しました。そこに、指定席の“予約番号”が張り出されからです。まだ何も張られていない掲示板の前を突っ立ち、まだかまだかと待つこと数十分。ホントに列車が入る直前に、係員が一枚の大きな紙を持ってきました。ただでさえ、何をするにも混雑しているインド社会、その時の模様はおしくらまんじゅう。でも私は踏ん張って、自分の名前を探すのでした。

 乗ってから探せばいいんじゃ・・と思うでしょうが、それができないのです。インドの列車はやたら長く連結されているのに、車両同士がつながってない不思議なシロモノで。
 数々の困惑と驚きの中、やっと自分の席番号を見つけた時には、すでに、たくさんのインド人。不可解ながら、座る場所がないまま、出発となりました。
 しばらくして、車掌さんが検札に来ると、人数が合わないという感じでもめ始めました。彼らは子供は2人で大人の1人分だと言っているようです。でも子供と言っても、10歳〜ハタチ前ぐらいの女の子が6人。いくらインド人が小柄だと言っても、ちょっとそれはムリでしょ・・。長引いた交渉のあと、しぶしぶ追加料金を払っていました。どーりで。

 列車の旅は不思議です。初めは好奇のまなざしで見られていた私も、時間と共にすっかり打ち解けることができました。翌朝、車窓から“聖なる川ガンガー”が見えたときの、彼女らのうれしそうに輝いた顔。それを見たとき、きゅーくつでも一緒に乗れてよかった、と心から思ったのです。
バラナシ駅に到着すると、早速、インド人客引きたちにに取り囲まれました。どこに行くんだ? ホテルは? オレのリクシャ(後ろに人を乗せる荷台をつけた自転車)に乗らないか?・・と。
と、そんな中、
「エブリ プレイス 2ルピー!」
という声。当時1ルピーは5円。10円でどこでもOK?!聞いていた相場の半分じゃあないですか!
「ほんと? どこでも2ルピーなの?」
私が問い返すと、男はニヤッと笑い、胸を張って
「エブリ プレイス 2ルピー!カッモーン!」
これが、彼、フロスカムと出逢いになりました。

 「ねえ、クミコハウスって知ってる?」
それは、日本人経営の安宿。フロスカムに聞こうとしたら、しつこい客引きのひとりが、
「エッ!何言ってるんだ?1週間前に捕まったよ」
と、恐い顔。その声で、また客引きたちが「なんだって!」と集まって・・あれよあれよと人だかり。
「えっ・・どうして捕まったの?」
「あそこでみんな悪〜い薬やって、見つかって」
「クローズ、クローズ。行ってもムダムダ!」
「あんなトコ行ったら、キミも逮捕されるよ!」
彼らは、大きな目をさらに大きくして、アーダコーダ、まるで怒っているように詰め寄ってくるのです。
「××××!」
フロスカムが大声をあげました。オレの客だぞ!と言うように。そして、私をリクシャに乗せ一気に走り出したのです。    (続く)

トップページに戻る
メールはこちらへ!