★ 町内会 Webサイトの実態と課題 ★ 
 〜人を動かし持続的に運営可能な Webサイトの実現を目指して〜 
 
■研究の動機と目的
 私は以前から、インターネットというものを情報収集のためだけの無味乾燥なツールではなく、人を動かすツールとして捉えるべきだと思っています。
 現在Web上には“コミュニティサイト”と呼ばれるものが氾濫していますが、その中でも「地域に密着したサイト」が、実際の地域社会にどの程度インパクトを与えられるのか、検証してみたいと思いました。
 この研究では、地域サイトの中でも最も地域密着型だと言える「町内会サイト」を取り上げ、その運営実態と課題を整理し、問題の解決策を検討します。
 
■研究の方法
 町内会サイトは無数に存在し、全てを網羅的に調べることはできません。そこで、次のような方法で具体的な研究対象を選定しました。
 はじめに、サーチエンジン(Excite, Yahoo, Google)を用いて、60件の町内会サイトを抽出しました。
 次に、それらのサイトにある「リンク」から、別の町内会サイトを見つけ、またそこにあるリンクを探る、ということの繰り返しによって、合計128件のサイトを発見し、それを研究対象としました。また、サイトの観察だけでは分かりにくい事柄に関しては、サイト管理者に対するアンケート調査を実施しました(回答数 56、回答率 48.3%)。
 
■町内会サイトの目的
 アンケート調査では、まず町内会サイトの開設目的を複数回答方式で尋ねました(下図)。多くの項目が高い選択率となっており、町内会サイトが「多目的サイト」の性質を持っていることが分かります。
 中でも、町内会の既存業務をサポートするタイプの項目、特に「町内会の履歴記録」は高い選択率となりました。
 これに、「街への愛着・住民連帯感の喚起」、「住民の利便向上」を加えた3項目は、町内会サイトの三大目的だと言えるでしょう。
 町内会サイトは、実用的な情報提供や、町内会運営の効率化を図るためだけでなく、住民に対する情緒的・心理的な効果も狙っているということは、一つの重要なポイントです。
 また、選択率は高くないものの、「地域外への情報発信」という目的は、町内会の新しい方向性として注目されます。
 
 
■なぜインターネットなのか
 町内会の情報をインターネットで取り扱う理由としては、既存のメディア(口頭連絡・回覧板・ポスター・小冊子など)と比べ、主に以下の点でインターネットに優位性があるからと考えられます。
 
・24時間閲覧可能 →仕事等で昼間地域にいない人々(主に働き盛りの男性)に対して、町内会への関心を喚起できる
・情報蓄積が容易 →古い情報が劣化しない。全情報を1サイトにまとめられる(整理・関連付けが容易)。紛失しにくい。
・高い表現力 →特別なコストをかける必要なく、フルカラーの写真や画像、動画なども取り扱える。
・双方向性 →掲示板やメールで、書いた記事へのレスポンスを受けられる。 管理者のモチベーション向上につながる
・速報性 →頻発する空き巣・車上狙い等へのタイムリーな警告が可能。 イベントの報告が新鮮なうちに可能。
・発信コストが安い →印刷費や配布の手間が不要。通信費は定額の場合が多く、管理者に特別な費用負担がかかることは少ない
 
 ただし、インターネットを利用しない人も多く存在するため、一方では既存メディアとの補完関係が重要となる。
 
→ページ2 : 町内会サイトの利用実態・運営
 
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