「五人のおに」

 むかしむかし、ある所に、大きな五人のおにがすんでいました。ときどきおには山のふもとの町にやってきて、いたずらをしました。次々に生まれる子どもも、おににすぐ食べられてしまい、この町はつぶれそうです。町のみんなは、おにの強さを知っているので、山に行っておにをたおそうという人は、少なく、おにをたおしに行った人もいますが、だれ一人かえってきません。そこで村は、
「おにをたおしたものには、一億円を賞金としてわたす。」
ということをきめました。そこで、この村にすんでいるわかものが、鬼をたおそうということを考えました。
 親はやめさせようとしましたが、いうことをききません。そこで、おにたいじに行くことをゆるしました。
 そのわかものの名まえは、ぼうず(A)といい、近くにすんでいる子ども三人にもなかまになってもらい、たたかいのじゅんびができました。
 それで出発です。まず、赤おにに会いました。おには、
「ここから先には通さん。」
といいましたが、意外と楽にたおせました。おちばをふみながら歩いていると、とつぜん青おにが横からでてきて、金ぼうをふりまわしました。
「こいつは手ごわそうだ。」
こんなことが分かると、作せんをねってたたかいました。あなに落としてたおそうという作せんです。一人があなをほり、あとの三人はおびきよせることにしました。
 うまく作せんに引っかかってくれました。これで、さいしょの二つのおにはたいじしたことになります。問だいなのは、次の三びきです。いつも集だんでこうげきしてくるので、つよいのです。それに一人一人の力も、そんなに弱くありません。
 時間がすぎて、日がくれるころになりました。ここにテントをはって、休むことにしました。どうしてかというと、夜のたたかいはきけんだし、つかれているし、まだ道は遠いからです。四人ともぐっすりねむったころ、たぶん十一時ごろでしょうか。テントが一しゅんにしてやぶれました。いきなり、強そうなおにがでてきました。すぐ、三人を食べてしまいました。まさおにとって心強いなかまが全員ころされてしまったのです。三人あいてで、一人でたおそうとするのはめちゃくちゃです。しかし、ぼうず(A)はなんとおにをたおしはじめたので、くろおにというおにはがけに落としますし、しろおにはたおしました。あれっ!もう一人がいない。と思ったとたん、金ぼうがふってきました。
 さいごの強てき、かげおにです。
 このおには、すがたが見えません。それなのに、ものすごい力をもつおそろしいおにです。弱点は光です。光をあてれば、すがたがみえます。昼をきらうのも、そのためです。
 ぼうず(A)は、ライトは左手にもって、たたかいました。このおには、他のおにとちがって、そうかんたんにはたおせません。そこで、知えの勝負になりました。おにがおそいかかってくる所を、さっとよれて、がけにおとそうというのです。しかし、すがたをけすのがとくいなこいつのことだから、なかなかできません。いきなり、おにがつっこんできました。「チャンス!」と思ってよけましたが、両方おちてしまいました。
 おにがたおれている所を見て、ぼうず(A)は、そのままこそこそにげだしました。しかし、おにが後をついてきました。まさおはお寺のドアをひっ死でたたきました。しかしのんきもののおしょうさんは、
「まて、まて。お茶をのんでいるところじゃ。」
といいましたが、まさおは、
「それどころじゃないんです。早くあけて!。」
後を見れば、黒いかげがこちらへ近づいてきます。
「ガラガラッ。」
寺の戸が開きました。おしょうさんに今までのことを話すと、三枚のおふだをくれました。
 朝になって、寺を出ようとすると、いきなりおにが目の前に出てきました。まさおは、
「おふだよおふだよ、川になれ。」
ぼうず(A)は、小川をピョンピョンとんでいきました。おにも、あとからついてきました。つぎにぼうず(A)は、
「おふだよおふだよ、バリアになれ。」
すると、虹がぼうず(A)の回りにあつまりました。おにが、あとからついてきます。
「さあ、食ってやるか。」
おにが食べようとします。しかし虹でさえぎられてしまいます。ぼうず(A)は、さいごのおふだをもち、 「おふだよおふだよ、おにの弱点炎になって、おにをたおしてしまえ。」
するとおには、いきおいよくもえ上がる炎の中に、きえていきました。
 ぼうず(A)は、村にかえると、一億円の賞金や宝をもらい、また幸せにくらしたらしい。しかし、なぜかここにたおしたはずの「かげおに」があらわれるといううわさを聞き、おどろいたのはぼうず(A)です。そういえば、前のおしょうさんの話では、
「このおふだのこう力は、五日できえる。」
といっていました。
 ぼうず(A)は、かげおにをたおしに出かけました。しん夜の二時、夜空にきれいな星がある日です。いきなり青い星がふってきました。それが、いきなりばくはつしました。こわごわ目をあけると、なんとかげおになのです。
 ぼうず(A)は光とほのおをもってたたかいました。しかし、まさおが勝ちました。そして家に帰りました。
 ぼうず(A)のおにたいじはせいこうしました。そして、ずっと幸せにくらしたということです。


※文中、「ぼうず(A)」と「まさお」という登場人物が出てくるが、文脈からも分かる通りこれは同一人物。
最初は全て「まさお」にしてあったのだが、「勇者」のイメージとかけ離れたネーミングのため作者が恥ずかしくなり、提出寸前に「ぼうず(A)」にしたものと思われる。訂正を忘れた部分だけ「まさお」という固有名詞が残っているのだ。

※必要性が全くないにも関わらず、(A)という記号がついているのは甚だ謎だが、これはおそらく「スライムA」「スライムB」という類のものと推測される。


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