1998年7月10日(金)


「何か、気持ちいい1Pのやり方はないかなぁ〜。」
テストから帰ったばかりの頭は、もうこんなことを考え始めていた。
このごろ、普通の1Pをしていても、物足りなさを強く感じるようになってきた。
早く2Pがしたい。とはいえ、相手がいないからそれは望むべくもない。
いま僕にできることは、この環境の中で、いかに気持ちいい1Pの仕方を見出すか、ということだけ。
「1Pの世界」を始めてからもう5か月。そろそろ、1Pのバリエーションも終わりに近づいているのかもしれない。
しばらく考えを巡らせた後、とりあえず、という気持ちでお菓子の入っているかごに目をやる。
青いプラスチック製のバスケットの中には、スナック菓子やチョコレート、飴やガムなどが無造作に投げ込まれている。
なんの気なしに、僕はその中をあさってみた。記憶から消え去り、底の方でいたんでいるお菓子があるかもしれない。
がさがさがさ・・・そこで僕の目をひいたのは、カビの生えた古いお菓子ではなく、1個の洗濯ばさみだった。
あっ、これだ。
色褪せたピンクの洗濯ばさみを手にとると、かつての記憶が、ぼんやりと浮かび上がってきた。
昔はこれで、乳首をはさんで、気持ちよがっていたっけ・・・
その洗濯ばさみは、ばねが半分伸びきってしまっていて、洗濯物を干すには役不足だ。
しかし小さい頃の僕は、その老いぼれ洗濯ばさみに新たな活躍の場を与えたのだった。
その微妙にはさみつける力は、男の子のひとりあそびには、これ以上なく適したものだったのだ。
僕はなぜか急に、すごくしたくなってきて、お尻の下に敷く新聞紙と、ティッシュ缶を用意してエマ本を開いた。

最初はいつものやり方で、快感をゆっくりと開いていく。
左手で乳首、右手で亀頭を摩擦。
オナニーを覚えたての頃は、こういうことをすればいつでも、エッチな気分が高まっていたのに。
強い快楽にさらされ、慣らされてしまった僕の身体。
そのうち、何をしても感じられなくなってしまいそうで、不安になる。
日常茶飯事としてのオナニー。勃起→快楽→射精という、生理的な流れ作業。
マンネリを打ち破るには、どんどん変な方向へ走らざるを得ない自分が悲しいけれど、 さらなる気持ちよさを求める心の動きだけは、何よりも強くなってしまった。
その心に支配されて、僕の身体の上をはい回る左手と右手。
あそこが熱くなってきた。服の中に左手を忍ばせ、うすい褐色に染まった右の乳首の先端を、 指先で尖らせてから、洗濯ばさみをあてがう。
洗濯ばさみをつまんでいる右手から、徐々に力を抜いていく。
初めは甘美な感触、でも次第に強まる圧迫感・・・いたいよぉ・・・
アアっ!
右手は完全に離れた、乳首がちぎられそうに熱い! 違う、痛いんだ、痛いよぉ!
痛さを忘れよう、忘れようとして、僕は狂ったようにあそこを摩擦しつづけた。
あぁ・・・いたいよぉ・・・許して・・・
気持ちいいのか、苦しいのか分からないまま、左手は左の乳首を激しくこする。
痛くて、痛すぎて、もう我慢できなくなってきた。
身体の中の一点だけが、ひどく責められて、こんなにされてる・・・
あああーー熱いぃー、ダメ・・・
閉じていた目をパッと開いて、僕は右乳首を洗濯ばさみの責めから解放してやった。
乳首が平ぺったく変形してしまっている。
指先でつついたり、もんだり、ちょっと強めにつまんだりしてみても、感覚がマヒしてしまったのか、 ほとんど快感はなく、ただじーんと熱いだけ。
さあ次は、イクまで取らないぞ・・・そう決めて、左の乳首に魔の手を伸ばす。
今度は、乳首の先端から少し奥の方に、洗濯ばさみを取りつけることにした。
はさむ面積を大きくして、痛みを少しやわらかいものにしよう、と思ったのだ。
左手で乳首をつまみながら、右手でパチン。
あぁ・・・いいよぉ・・・
「したい気持ち」を分泌する器官を、直接針でつついているような刺激。
右手が無意識のうちに、あそこに伸びてしまう。左手は服の中で、中指で右乳首を、親指で洗濯ばさみをつつく。
洗濯ばさみから その振動が伝わるたびに、しびれ、熱いしびれが、僕を何も考えられなくして、 気持ちだけを高ぶらせていく。
左手がけいれんしているくらいに、やたらと早く動いてしまう。
動けば動くほど痛いのに、あぁ、いやぁ・・・
乳首が・・・熱いよぉっ!
女の人に、乳首を強く噛んでもらっているところを想像しながら、僕は終わりを放った。

はぁぁぁん・・・
脱力感。上半身のじれったい痛みだけが、射精前と変わらない。
僕は白く濡れた右手で、洗濯ばさみを乳首から外した。外すときに少し感じた。
このごろの自分は、生きるために、気持ちよくなっているみたい。
明日は、何をすれば、気持ちよくなれるのかな・・・





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