1998年4月6日(月)


まず初めに、この文が4月21日に書かれたものであり、 記憶が曖昧なところは、一部想像で補った点があることをお断りしておく。

この日、僕は何事に対してもやる気をなくしていた。
今朝のクラス分けを見たら、ほとんど友達がいないところに 割り振られていたからだ。
僕は自分でも思うのだが、新しい友達を作るのが苦手な方で、 いつも馴れ合いの仲間内だけで遊んでいる。
3年になって、さあ頑張るぞという意気込みは無いわけではなかったが、 やはりクラスの雰囲気になじめないままで学校に毎日通学するのは、 思った以上に体力と精神力を消耗するものである。

始業式を終え、いつもの仲間と寄り道をして家路につく。
上手く表現できない、ぼんやりとした憂鬱感が、僕の心を満たしていた。

僕はいつも、学校から帰ると8時まで昼寝をすることにしている。
そうして深夜に勉強した方が、自分にはあっていると思うからだ。
真っ黒な制服を脱ぎ捨て、水色のストライプのパジャマ上下に着替える。
自室の窓を閉め切ると、もはやそこは夜の世界だ。
雨戸と雨戸の隙間から闇を侵して入ってくる一条の光だけが、僕をかろうじて ベッドの所まで導いてくれた。
倒れこみ、足を伸ばす。どんなときでも、眠る前のこのひとときは、心安らぎ 幸せな気分になれるものだ。
眼を閉じる。静寂が何よりも心地よい。
だがしばらくすると、頭の中を、不快な出来事がぐるぐると回転し始めた。
五月病ならぬ、四月病というのだろうか。
僕はその上、あることに早くから気づいてしまっていた。
このごろ、楽しいことと言ったら、眠ることと、あと他に何がある?
オナニーしかないではないか。
こんな生活をしている自分が情けないやら、悔しいやらで感情が高ぶってくる。
僕は思わず、そう、身体が自然に動いたというのが適切だろう、ベッドの脇にある 本棚からエマ本を取りだし、スタンドに手を伸ばした。
目を凝らしても、何も見えないように思われた暗闇が、一瞬にして白色光の まばゆさに包まれる。
それと同時に目に飛び込む女性の裸。目が光の強さに慣れきれずに、その残像を 網膜にくっきりと焼き付ける。
楽しく生きるって何? こんなことでも、いいのかなあ...
僕は枕を右側にずらし、本を置くスペースを作った。
うつぶせの体勢で、僕は女性の裸を見ながら、ゆっくりと腰を使い始める。
こんな・・・ことでも、した方がいいのかな...
すでにはだけてしまったパジャマの袖口から、乳首へと両手をのばす。
乳首に触れる。脳髄を溶かすという表現がぴったりと当てはまりそうな、 甘く切ない感覚がにわかに生まれ、僕はとろんとしてしまった。
肉体の一部とは思えないほどに硬直したペニスを中心に、腰を円運動させ、 ベッドにあそこを押しつける圧迫感や、トランクスと亀頭との摩擦感を十分に楽しむ。
僕はしばらくそれを続けていた。気持ちいい。嫌なことなど全て忘れられる。 本当に、自由な自分を取り戻せるような感じ。本当にうれしい・・・
下腹部のあたりに体重をかけ、ペニスの付け根部分を圧迫したり、同様に今度は タマの方を少し押しつぶすような感じにしてみたりすると、むずむずするような 性感が沸き上がってきた。
しかしそれらは、直接に射精を促すような快感ではなく、むしろいつまでも続く 快楽のように思われた。
僕は乳首をこね回しながら、さまざまなタイプの回転運動を試してみた。
少し腰を浮かせながらローリングすると、圧迫感こそ感じられなくなるが、 亀頭の先を絶妙に擦り上げる下着の感触が悩ましい。
それに飽きたら、ペニスをベッドに叩きつけるようにして、腰を激しく上下させる。
手でしごけば、気分の持ちようによっては1分で射精することもできる早漏気味の 僕だが、こういったベッドオナニーでは何時間でも耐えられそうな気がした。
とはいっても、男というものは射精を最終目的にする生き物だから、どうしても 最後は白濁を放出しなければならない。
いつもは、ある程度感覚がとがってきたところで右手にバトンタッチするわけだが、 今日はできるだけ長い間こうしていたかった。ベッドから離れたくなかった。
右手を使えばすぐにでも終わらせることができる。でも、今はこうしていたい。 それが、いま一番「楽しく生きる」ことだから・・・。
僕は女のコのイメージを頭の中にしっかりと留め、目を閉じて腰を使い続けた。
精神的に盛り上がってこないと、ベッドではイけない。とにかくHなことばかり 考えて、頭の中を女のコのことだけで満たすのだ。
頭の中で、僕と女のコがHをしている妄想ができあがった。それに合わせて、腰を 速いペースで動かす。ほとんど本能的なその動きは、自分でも分からないほど複雑で、 僕はベッドの上をのたうちまわるただの獣と化していた。
ああ・・・・イきそう・・・・
僕は極限まで性感を高めて、その頂点に達したところで一気に動きをパタンと止めた。
右手でしごくときには、未練がましくこすり続けてしまって、イきたくもないのに イってしまうことがよくある。
しかしベッドオナニーでは、腰を動かすという比較的大きな運動をするので、 「やめよう」と思えば動きを止めることができるのである。
僕が射精を我慢したわけは、ただ長時間していたいという理由だけではなく、このまま 勢いよく発射してしまったあとのことが予想できたからである。
さっき履き替えたばかりのトランクスが、性のにおいに蒸れてしまうことだけは 避けたかった。
そこで僕は、早漏防止の効果も考えて、途中でオナニーを中断し、自室のある 2階から1階へと移動した。
台所で僕が手にしたものは、一枚の透明なビニール袋だった。
スーパーなどで、どれだけでも自由に持ってくることのできる袋である。
再び自室へと走り込んだ僕は、下半身の衣服を脱いで椅子にかけ、そして そのビニール袋をあそこにかぶせた。
そう、コンドームの代わりといえば分かりやすいだろうか。
身体の奥から飛び出してくる欲望の固まりを受け止め、下着やシーツを汚さないために とっさに考えついたアイデアである。
なお、その前に亀頭を保護するため、包皮をかぶせて仮性包茎状態にしておいた。
そうしないと、フィニッシュ近くの猛烈な摩擦熱によって亀頭の薄皮がはがれ、 薄く血がにじんだようになってしまうことがあるのだ。
ベッドの上には、エマ本が開いたままあった。僕はそれに抱きつくようにベッドへ 転がり込むと、何も考えずただ腰だけを回し、くねらせ、打ちつけた。
両手の人差し指と中指をけいれんしたような早さで動かし、乳首への連続的な 刺激も忘れない。
最初のうちは、乳首を触っていないと気持ちよくなれなかった。乳首を触らないで 腰だけ振っていても、全く気分は乗らなかった。
しかし、オナニーもいよいよ最終段階を迎えると、乳首など触らなくても チン×だけで勝手に高まっていってしまう。
かなり乱暴で、荒っぽく、いつもの僕からは想像もできない動きをしている。
これが本当の自分なの? こんなに激しく、狂いそうなほど何かを求めている この姿が??
僕は枕をつかみ取り、胸の下に引きずり込んで抱きしめた。
枕を抱きしめ、腰を振り、僕はほとんど心を失っていた。
ただ一つだけ、「この枕が、もし本当の女のコなら」という思いだけがかすかに 浮かび、そしてすっと消えていった。
包皮が破れんばかりの勢いでこすりつけられる。枕を抱く両腕にありったけの力を 込める。
チン×が熱い。そしてタマの中から、付け根のあたりから、何かとてつもなく 気持ちの良いエキスがにじみ出てくるような感覚が走る。
もうすぐ終わる。だからとにかく、いちばん幸せな瞬間が与えられますように。
僕は限界速で回した。カウパーでねちゃねちゃになった亀頭に快感が集中し、 チン×全体がきゅっとしまる感じがした。
あっ、声にならないあえぎが漏れる。目を固く閉じ、その瞬間にすべてをかける。 ベッドが断末魔のきしみをあげる。
ああああああああああっっ!!
どびゅっ、どくどくどくっ、
絶叫したくなるほどの快楽(僕は、このとき声を出したかどうか覚えていない。 おそらくは・・・)と、数億の精子たちが一斉に包皮からビニール袋の中へと 飛び出した感触が一気に僕の神経細胞に襲いかかった。
枕を握りしめた手がこわばり、震えるのをどうすることもできない。
包皮は自然にめくれ上がり、袋の中へと直接ミルクが注ぎ込まれていく。
僕は射精が終わった後も、しばらくの間動くことができなかった。

ふらふらと立ち上がり、ビニール袋を股間から取り去る。
だが実際には、袋は亀頭と完全に密着してしまっており(原因不明)、急に 引っ張ったらかなりの痛みを覚えたのでゆっくりと、時間を掛けてはがし終えた。
精液の粘着力のせいで、ふくらみを失いぺしゃんこになった袋を外から見ると、 たくさんの泡と、乳白色の液体がはっきりと見てとれた。
そして、お約束のあのにおい。
僕はいつもの通り、トイレットペーパーで股のあたりを掃除したあと、 そのビニール袋の口を固くしばり、本棚の空きスペースに投げ入れた。
(一度スキャニングを試みたが、袋の乱反射のためきれいに写らなかった)

そして、これを書いている今、手元にその袋がある。
その色は薄黄色になってはいるが、驚いたことにまだ水分が残っている。
外から手で触ってみたら、冷たい、いやな感じがした。
しかしさすがに、恐ろしくてにおいを嗅ぐことはできずにいる。





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