輝国山人の韓国映画
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世紀末

 20世紀最後のソウルの姿を鋭い視線で解剖し,行くところまで行った援助交際,金やコネなしでは大学の教壇に立てない大学腐敗,餅代がいちばん優れている<賄賂共和国>,深刻な貧富の差から生まれる常識外の殺人事件,食事を欠く野宿者たちとあふれ出るお金を持て余して数百万円の服で装う富裕層の贅沢などなど,重症の世紀末的症状をシナリオ作家が送った何日かで描き,病んでいる世相を告発した映画。
 <モラトリアム><無道徳><モラルハザード><Y2K>という4つの章の中心話を占めて,彼ら周辺を不吉で,とても滑稽で,ぞっとする事件がかすめていく。

 

● チャプター1 モラトリアム (Moratorium)
 〜シナリオ作家トゥソプの幾日,現実と夢見ること〜
トゥソプは,乱れて混とんとした世の中の象徴のような旅館部屋で,依頼され童話みたいなメロドラマを書こうとするが思い通りにならない。彼は,監獄の看守のように干渉して催促するソ室長と何だかんだと口げんかをして苦痛な作業を進行する。作品が浮かばずうんうん唸っていた道でヨーヨーを売る一人の男を発見する。シナリオをしめくくるある日,ウイルスにより内容がすべて消されてしまって茫然自失になる。家に帰る途中,自分が乗るところだったタクシーが交通事故にあうのを見たトゥソプは,自分が書きたいことを書かなければならないと決心する。いよいよ夢見たシナリオを一晩中書いたトゥソプは,翌朝ヨーヨー男の殺人事件をTVニュースで見る。

● チャプター2 無道徳 (Amorality)
 〜賎民ブルジョアと女子大生...チョンの息子, そして資本〜
無道徳な55才の賎民資本家チョンは,資本主義に押されて疎外される大学生ソリョンと援助交際をする。チョンとのセックスの後,チョンがくれた10万ウォンの小切手3枚をソリョンは財布に入れる。チョンと別れた後,ソリョンはビデオルームでチョンとの記憶を恐怖映画に混ぜる。家へ帰る途中,小切手1枚で晩御飯のおかずを買ったソリョンは,兄ミンに会いに父が入院中の病院に行く。植物人間の父を見て現実に絶望感を感じるソリョンは,小切手2枚を兄にわたす。二重の生を生きていく混乱の中で迎えた21歳の誕生日。友人ミナの紹介で会うようになったチョンの息子ヒョニルとの誕生日パーティーで麻薬を始めるようになる彼女の生は,ますます墜落していく。ある日,ヒョニルとソリョンは運転する車で,ヨーヨー男が道端にひろげたヨーヨーを壊す。ささいな言い争いを繰り広げて, ヒョニルはヨーヨー男に斧で残忍に殺される。

● チャプター3 モラルハザード (Moral Hazard)
〜墨汁(たち)の道徳的弛緩とその没落〜
時間講師のサンウは,断定的でシニカルな口調で政治, 社会, 経済を誹りながら,私たちの "父たち"の誤って失敗した韓国100年を講義する。サンウは偶然に会ったホン記者と真昼にSEXをする。その日の夜,教授任用問題で学科長と会ったサンウは,4千万ウォンをわいろとして準備しろという話を聞いて悩む。そして,でたらめに酔った状態で憤怒をさく烈させて気を失ってしまう。自分でさえ忘れてしまった過去の恋人の肉声メッセージを通じて,2000年1月に生まれる自分の2世の消息に危機感を感じた彼は,妻ミランとの問題解決に頭が痛い。世紀末の混乱と道徳的弛緩は,まさに彼の頭の中ある。妻の告訴で突然に現れた警察に逮捕され,ヨーヨー男と護送車にからだを積む。

● チャプター4 Y2K
漢江の川辺で焼酎を置いて向き合ったトゥソプとソ室長。<20世紀>というシナリオが再び映画化に失敗した後,文章を書くことを止めて漫画店を運営しているトゥソプは,子供が生まれた後,見違えるように社会に批判的で攻撃的になったソ室長をなだめる。私達が住むこの社会は,でたらめで3流だが,それでも人々に希望があると話す。トゥソプは,最近構想し始めた新しいシナリオの話を始める。

[制 作 年] 1999年 [韓国封切] 1999年12月11日 [観覧人員] 39,636人(ソウル封切館基準) [原 題] 世紀末 세기말 [英 語 題] Fin de Siecle [監 督] ソン・ヌンハン [第2作] [助 監 督] キム・ドンウク [撮 影] イ・フゴン [照  明] ウォン・ミョンジュン [音 楽] シン・ヘチョル [美 術] オ・サンマン       イ・グン(アートディレクター) [出 演] キム・ガプス    → トゥソプ シナリオ作家    イ・ジェウン    → ソリョン 援助交際大学生    チャ・スンウォン  → サンウ 大学時間講師    イ・ジウン     → ミラン サンウの不倫相手    イ・ホジェ     → チョン    アン・ソックァン  → ヨーヨー男    チョン・ギョンスン → ヒスク トゥソプの妻    ユ・テホ      → ソ室長    ホン・ギョンヨン  → キョンミ サンウの妻    イム・ジソン    → ホン記者    イ・ウォンジュン  → ヒョニル チョンの息子    コ・ガリョン    → ミナ ソリョンの友人    ウ・ジニョン    → チョンウ    ムン・ジヒョン   → ミス・ミン    イ・チャニョン   → パク教授     ホ・ギホ      → チョン教授 学科長    キム・セホ     → ミン ソリョンの兄    アン・ジョンファン → チョンの義理兄弟     ウォン・チャンヨン → ユ 評論家    イム・ジンテク   → 全天候 文化批評家 ホ    パク・ヨンジン   → パク監督    イ・ソック     → 屋台主人    クァン・ボクトン  → 鉄砲玉タクシー運転手1     キム・ナモ     → コンピュータ修理技術者    チャン・ナミョル  → 刑事1    チョ・ガンサン   → 刑事2    チョ・ジェヨン   → ソリョンの父    チェ・ミングム   → ソリョンの母    キム・ジュニョク  → ピル    チョン・ソグォン  → 鉄砲玉タクシー運転手2    イ・ジスン     → 時間講師1 [企画担当]    イ・サンヒ     → 時間講師2    ホ・ジョンス    → タクシー男客    ムン・ギョンヒ   → タクシー女客1    ソン・ヘリョン   → タクシー女客2    パク・テウォン   → 旅館従業員    キム・サンボム   → ダブル客    キム・ジンミン   → 大学助手    イ・ジョンサン   → チンピラ1    チョ・ギョンフン  → チンピラ2    イ・チョリ     → チンピラ3    キム・ソンリョン  → 肥満男  [制作室長]    チョン・ギフン   → ヌード男    カン・ジェソプ   → パチンコ従業員1    キム・ジョンドゥ  → パチンコ従業員2    キム・ヒチャン   → 学生    ソ・ヨンオク    → 援助交際女    パク・チョンフン  → 警察    キム・オクミ    → 家政婦    ホ・ジョンウン   → 10代少女1    キム・ギョンジン  → 10代少女2    ユ・ジユン     → トゥソプの息子    キム・ウンス    → ヨーヨー男の息子    イ・チョヒ     → ヨーヨー男の娘    ミン・ビョンエ   → チョンの夫人    ファン・ユンジョン → チョンの娘 [受 賞] 2000 第23回 黄金撮影賞授賞式/新人撮影賞(イ・フゴン),新人監督賞 [時 間] 102分 [等 級] 18歳以上 観覧可   [制作会社] テフン(泰興)映画(株)  [ビ デ オ] なし [レンタル] なし [Private ] (K-VHS) → Blu-ray  KMDb [お ま け] 


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