輝国山人の韓国映画
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大統領の理髪師    DVD発売

 平凡な理髪師が,一瞬にして大統領の理髪師になったことで,彼と家族たちのまわりで巻き起こるアイロニーな状況をユーモラスな雰囲気で描いたヒューマン・コメディ
 不条理な政治的事件ばかりだった韓国の1960〜70年代の激変期を平凡で小心な理髪師の目を通し描いた作品。

大統領府が「景武台(キョンムデ)」という名前で呼ばれていた時代,景武台が位置した町に孝子(ヒョジャ)理髪館があった。 孝子理髪館は,ソン・ハンモ(ソン・ガンホ),あるいはトゥブ・ハンモ(豆腐一丁)と呼ばれる小心だが素朴な理髪師が主人。彼は,顔剃り師兼補助の仕事をする女の子キム・ミンジャ(ムン・ソリ)を誘惑して妊娠をさせてしまう困った理髪師であった。

景武台地域の住民らしい自負心から,国がすることならば常に正しいと信じるハンモ。人々が3.15不正選挙と批判する1960年3月15日の選挙日にも国のために投票用紙を食べたり,野山に投票紙を埋めたりした。妊娠したけど結婚はしないというミンジャを説得したのも,イ・スンマン(李承晩)大統領が憲法改正で使った「四捨五入」の論理(注1)に習って,妊娠5か月ならば,四捨五入して1人分だから無条件で産むべきだという論理だった。

1960年4月19日,ハンモの妻ミンジャの陣痛が激しくなり,ハンモはリヤカーに妻をのせて病院に向かったが,なんと道路は3.15不正選挙を撤回しろという大規模デモが激しく行われていた。 軍人の発砲に傷を負った学生たちは,理髪師用の白衣を着たハンモを医師と間違え,なぜか英雄になったハンモは,陣痛のミンジャを乗せたリヤカーに愛国青年たちも乗せて病院へ向かう。ハンモの息子ナガンが生まれたこの日は,後日,4.19革命という名前で広く知られるようになる。

翌年の1961年5月16日,理髪館の前の道を戦車が1台過ぎ去った後,中高生削髪令が下され,理髪館は日々繁盛した(削髪令部分は,編集でカット)。息子ナガンも小学生になった。

16年守ってきた孝子理髪館の理髪師ハンモの人生は,ある日訪ねてきた大統領府警護室長チャン・ヒョクス(ソン・ビョンホ)によって転換期を迎える。 ハンモが見つけて申告したスパイが,中央情報部職員という事件が起こる。ところが内部事情を知らない大統領(チョ・ヨンジン)は,ハンモの監視精神を高く評価して模範市民表彰状を下賜する。

この事件を契機に,彼は,大統領府へ呼ばれ,大統領閣下の髪を切る大統領府理髪師となる。 事情を知らない町の人々は,彼を羨むが,警護室長チャン・ヒョクスがにらむ中で,大統領閣下の龍顔に鋏と剃刀をあてなければならない緊張感。傷でもつけやしないかと冷や汗ダラダラ流して,顔色を伺うばかり。 その上大統領府の権力争いで,警護室長チャン・ヒョクスと中央情報部長パク・チョンマン(パク・ヨンス)の拮抗した対立の中にハンモの一日一日は,危険この上ない。

ある日の夜,大統領府の後方,北岳(プガク)山に北のスパイが潜入する。 いくら怖いスパイといっても生理的欲求はどうしようもない。突然の下痢にしゃがんでいたスパイたちは,巡回中の軍人に見つけられて,銃撃戦となる。

この事件を契機に,政府は,下痢病をスパイと接触して伝染した不純な病気と見なす。別名「マルクス」病。下痢をすれば,町の人々は互いに疑い,告発するという笑えない状況が繰り広げられる。 そんな時,ハンモの息子ナガンまで下痢をしてしまう。 不安なハンモは,自分の息子はスパイでないとわかっていながら,ナガンを警察署に連れていく。

スパイには子も大人もないとスパイ容疑者になってしまったナガンは,中央情報部の拷問室に送られる。弱り目にたたり目で,この機会にハンモを利用して,チャン警護室長を除去して権力を一人占めしようとする陰謀を抱いたパク中央情報部長は,幼いナガンを拷問して,ハンモをマルクス病で検挙しようとする。はたして理髪師ハンモと息子ナガンは,無事に生きて帰れるだろうか。

[制 作 年] 2004年* [韓国封切] 2004年5月5日 [観覧人員] 1,972,377人 2004年 第13位       (韓国映画データベース 年度別ボックスオフィス) [原 題] 孝子洞の理髪師 효자동 이발사 [英 語 題] The President's Barber [ジャンル] ドラマ,コメディー [原 作]  [P  D] キム・ホンベク,パク・ソンホ [脚 本] イム・チャンサン [脚 色] チャン・ミンソク [監 督] イム・チャンサン [第1作] [助 監 督] ハン・スンニム [撮 影] チョ・ヨンギュ [照  明] イム・ジェヨン [美 術] プロダクションデザイン:カン・スンヨン [音 楽] パク・キホン(M&F) [武 術] チョン・ムンシク [出 演] ソン・ガンホ    → ソン・ハンモ 理髪師    ムン・ソリ     → キム・ミンジャ ハンモの妻    イ・ジェウン    → ソン・ナガン(楽安) ハンモの息子    ノ・ヒョンウク   → 20歳のナガン    リュ・スンス    → チンギ 理髪館手伝い    チョ・ヨンジン   → 統治者 大統領    ソン・ビョンホ   → チャン・ヒョクス 警護室長    パク・ヨンス    → パク・チョンマン 情報部長    ユン・ジュサン   → チェ氏 チェ・ドクス 米屋 洞長    チョン・ギュス   → ワン・チョルグ 餃子店    オ・ダルス     → アン氏 煉炭屋    ユン・ヒチョン   → ムン氏    チョ・ムニ     → ソン氏    パク・キルス    → ナガン 拷問要員    チェ・ホンイル   → 拷問男1 情報部    キム・ギョンヨン  → 拷問男2 情報部    チュ・ジンモ    → 派出所長    キム・ジェゴン   → 名づけ所老人    チョン・ジェジン  → 山奥 藁葺き家の老人    ミン・ブンギ    → チョンノ(鍾路)警察署長    イム・ジンテク   → 新政府男    チョン・デヨン   → 北朝鮮国指揮官    チェ・チョルン   → 4.19学生代表1    ソ・ジウォン    → 4.19学生代表2    ホン・ユギョン   → デモ女子学生1    チョン・ボクチュ  → デモ女子学生2    ソナク       → 屋根の上要員    ヤン・ヨンジョ   → チョンノ(鍾路)警察署 刑事    チェ・ハンチョル  → 戦車軍人    キム・ギョンファ  → 北朝鮮特殊部隊員1    イェ・ジェヒョン  → 北朝鮮特殊部隊員2    キム・ヒョンイル  → 殯所(かりもがりの部屋)後警護員1    オ・チャンギョン  → 殯所(かりもがりの部屋)後警護員2    キム・ソンピョ   → 軍人1    キム・ミンソク   → 軍人2    チョ・ヒョンジン  → 軍人3    チェ・ギョシク   → 派出所 キム巡査    イ・ヨンファン   → 機動隊    チン・ミョンソン  → チェ氏夫人    ホン・ソクピン   → 情報部長の部下    キム・ビョンチェ  → 新しい統治者    キム・ドンス    → 警護室長の部下    オ・ジョンウォン  → 大統領の令夫人    イ・ヒョンジュ   → 警護室長の妻    パン・ヘラ     → 情報部長の妻    キム・ジェウ    → 情報部長の息子    ユン・ボクソン   → 逝去放送    子役    チェ・ムニョク   → ヨンジョン 煉炭屋アン氏の息子     キム・チョヒ    → ヨンエ    チョン・セイン   → 令息    キム・セミョン   → 子供1    シン・ミンギュ   → 子供2    ハ・ジュンホ    → 子供3    ソン・ハル     → 警護室長の息子    チェ・ソンミン   → 赤ん坊のナガン       字幕外       イ・ドグク     → 軍人 [受 賞] 2004 第17回 東京国際映画祭/最優秀監督賞,コンペティション部門 観客賞 [時 間] 116分 [観覧基準] 15歳未満 観覧不可   [制 作 者] チェ・ヨンベ [制作会社] チョンオラム(青於藍) [ビ デ オ] アルバトロス(DVD 4,935円) [レンタル] あり [H P] http://www.albatros-film.com/movie/barber/(日本) [撮影場所] KT&G チョンブク(全北)本部       ケリョンサン(鶏龍山)カプサ(甲寺)       ケリョンサン(鶏龍山)公園       クンサン(群山)医療院       大韓航空       トンア(東亜)大学校 プミンキャンパス       プサン(釜山)臨時首都記念館       プサン(釜山)市立博物館       ソウル大学校 農業生命科学大学       ソンニサン(俗離山)国立公園       オソム警備銀行長       ヨンドンポ(永登浦)小学校       ウォングァン(圓光)保険大学       インサ(仁寺)洞 クァンフン(寛勲)ギャラリー       チョンジュ(全州)北部警察署       チョンジュ(全州)ワールドカップ競技場       チョンジュ(全州)科学産業研究団地       チョンナムデ(青南台)       パジュ(坡州)ソリョンウォン(昭寧園)森の中       ポチョン(抱川)ソラク(雪岳)パーク       ハジョデ(河趙台)海水浴場 [Private ] K-DVD【22】 J-DVD【22】 [お ま け] ・ソン・ガンホは,妻として理髪店で顔剃りを担当するムン・ソリと共にソウル市・     乙支路(ウルチロ)4街市場通りにある某理髪店で一カ月間の特訓を受けたそうだ。    ・この映画の背景となっているイ・スンマン(李承晩)大統領から,パク・チョンヒ     (朴正煕)大統領を経て,チョン・ドゥファン(全斗煥)大統領に至る政治情勢に     ついては,次の書物にわかりやすく解説してあるので,お勧めです。     ◎歴史を知ればもっと面白い韓国映画 「キューポラのある街」から「王の男」まで        川西玲子著 2006年 ランダムハウス講談社 1,800円       注1「イ・スンマン(李承晩)大統領が憲法改正で使った『四捨五入』の論理」           当時,大統領の任期は,憲法上,2期までで,3選はできないこととされていたが,         与党自由党は,これを初代大統領であるイ・スンマン(李承晩)大統領に限り適用さ         れないとする憲法改正案を国会に提出した。          採決の結果,在籍国会議員203人中賛成したのは135人で,改憲に必要な3分         の2以上にあたる135.33票以上,すなわち136票の賛成に1票足らなかった。          しかし,与党自由党は,改憲に必要な135.33票とは,「四捨五入」を使えば         135票であるという解釈により,改憲は成立したとした。  


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