about "Caresse--with Yoshio Ojima"

Caresse Image


「カレス--愛撫」
NEWSIC (Produced by Spiral)
28CD-N021 , ¥2,800 (tax included)

Copyright(c)1994 WACOAL ART CENTER

RA Icon Track.01 "1ere partie"
Track.02 "2eme partie"
Track.03 "3eme partie"

RA Icon Caresse live




柴野さつき (Piano , Synthesizers , Voicand SE )
尾島由郎 (Programming , ProTools Operate , Synthesizers and SE )

「カレス--愛撫」は、ピアニストの枠を超えて新たな表現に挑む柴野さつきと、アンビエント・ミュージックの可能性を追求する尾島由郎のコラボレーション作品。
 柴野が奏でるサティのフレーズと、その淡い音を慈しむかのように溶け込んでゆく尾島のエレクトロニクス・サウンド。吐息や雨音を絡めた精妙なコラージュが、エロティックなアンビエンスを現出させる。


01.1ere partie
02.2eme partie
03.3eme partie

TotalTime 48min.


Equipments

Piano

Synthesizer Sampler HardDisc Recording System Computer Software Recorder
Produced by Yoshio Ojima and Satsuki Shibano
Co-produced by Ryoji Ikeda

All Music by Satsuki Shibano and Yoshio Ojima
Satsuki Shibano : Piano , Synthesizers , Voice and SE
Yoshio Ojima : Programming , ProTools Operate , Synthesizers and SE

Recorded and Mixed by Naoto Shibuya (CRESCENTE SOUND)
Recorded at "Oizumi-cho Bunka-Mura" Hall , OJIMAS' House , SHIBANOS' House and ONKIO HAUS , Sep.1993- Mar.1994
Mixed at ONKIO HAUS, Feb.1994
Assistant Engineer : Tatsuya Ono at Oizumi-cho Bunka-Mura Hall and Tatsuhito Naruse at ONKIO HAUS
Mastering Engineer : Yuka Koizumi at ONKIO HAUS

Piano Tuning and Recording Coordination : Hiroshi Emori

Jacket Photo Coordination : Nobuhito Kunugi (Spiral)
Art Direction and Design : Keiichi Kondo
Photograph : Kazue Takeda
Hair and Make up : Masahiro Sakai
Location Supported by INSTITUT FRANCO-JAPONAIS DE TOKYO

Executive Producer : Etsuo Oshime (Spiral)
Associate Producer : Nobuhito Kunugi and Yoriko Yamagami (Spiral)

Special Thanks to :
Oizumi-cho Bunka-Mura Hall / OTARITEC (Hirokazu Saika and GENELEC-S30C-H) / CRESCENTE SOUND (Junko Narazaki) / ONKIO HAUS / Theater Tech (Hiromi Ishii) / GINZA JUJIYA (Takashi Sasaki) / Sound Designers Union (Kazuo Nogawa) / shima (Taichi) / Patrice Julien / Susumu Ohira / Yukiko Sekine / Chika Kadena / Takao Fujiyoshi / IIGURA STUDIO (AXIS) / Tsutomu Yagi / Yoshikazu Suo / Kaori Niiro / Michiko Takeda / Florence Mermet & Daphne Ogawa


「制作ノート」

・事の始まり
 アルバム「カレス」は柴野さつきと尾島由郎のコラボレーションによるCDである。二人の取り合わせは、ピアニスト⇔コンポーザー、ピアノ⇔コンピューター、アコースティック⇔エレクトロニクス、クラシック⇔ポップス、女⇔男などなど、相反する要素ばかり。実際過去の柴野、尾島ニュージック作品ではこの相異なるキャラクターを生かして作品を作ってきた。プロデュースしたり曲を提供したり、ピアノを弾いたり演奏家的観点からコプロデュースしたりなどである。
 今回の「カレス」は二人の間の役割分担を白紙に戻すところから始まった。

・手法?
 音を探す。
 個々のピアノが持つ音色に耳を傾け、個々のシンセサイザーが奏でる音色の可能性を探る。DATを持ち歩きSEを採集する。そうして大量の音と出会っていった。
 ここでひとつ線を引く。このアルバムで使う音と使わない音とに。その分かれ目は一言で言えばアンビエンス(雰囲気)があるかないかということ。きれいな音、かっこいい音より深いアンビエンス。この時点での拠り所はそれだけであった。
 こうしてピアノはチェコスロバキア製の最新型ピアノのペトロフ、シンセサイザーはプロフェット5、ウェーブステーション、モーフェウスなどが選ばれていった。

 音に動きを与える。
 作曲といえるのこの過程で二人がとった手法は試すことを続けるという事。大量の曲を選ばれた音で弾いてみる。それは曲全部であったり一部をループにしたり。さらにはそれを重ねてみたり。弾いては聴く、コンピューターに打ち込んでは聴くといった当たり前のことを丁寧に続けていった。コンセプトや設計図を持たずにただただ音の中におぼれていった。
 やがてふたつめの線を引くことにした。やることとやらないこと、採用する曲(というか曲の断片)と採用しない曲とに。この分かれ目の基準がアルバムタイトル「カレス」の所以である。エロティックであるかないか。身体にくるかこないか。である(「カレス」のエロスについては後で説明する)。
 こうして選ばれた曲のフラグメントは、ピアノ曲が期せずしてすべてサティ、アンビエントな部分が尾島の「コレクシオン・デ・シェノン」などである。

・「カレス」のエロスについて
 「カレス」の持つ音楽的な時間はエロティックな時間である。
 終始デリケートで愛撫的な音の時間が続く。ある時点での一つの音楽的満足感、陶酔感が次の段階への欲望の起因となり、更なる高まりを期待する。もっともっと、というきりのない欲望。いたわり、突き放し、じらし、抱擁するといった連続する時間を音楽的時間に重ねる。すべての音がそのためにある。

・手法?2
 音を編む。
 動きを与えられた音を時間の中に配置していく。カレス的な時間軸の中に。
 カレス的な音群をハードディスクレコーディングし自在にミックスしていく。
 構成ができあがるにつれて新たな音がほしくなる。そこで柴野は語り、シンセサイザーでインプロビゼーションする。尾島は再びシンセサイザーの音色を変更し、新たな素材をサンプリングする。曲を探し、曲を作り、大胆につけ加え、いさぎよくそぎ落とす。この段階でのアップデートは激しさを増した。

・各パート解説
1. 1ere partie
「長い長い階段がつづいている。
1000段以上もあってすべてが象牙でできている。
とても美しい。
誰も登りはしない、傷つけたくないから。」 〜 Words by Erik Satie (Marche du Grand Escalier)

「私の心が、あなたのものでありますように。
あなたの唇が、私のものでありますように。
あなたの身体が、私のものであり、
私のこの肉体の全てが、あなたのものでありますように。」 〜 Words by Henry Pacory (Je te veux)

   冒頭の15秒のSEは一番最後に付加したものである。日常的時間と、これから始まるカレス的時間との間にピリオドを打つために配した。思考停止になるための15秒である。
続いてプロフェット5のアンビエントが始まる。尾島の「コレクシオン・デ・シェノン」の「パルジャーニャ」の一部。柴野のウェーブステーションを使ったシンセ・インプロビゼーションが重なる。柴野のボイス(サティのテキスト)が雨音の中に消えていく。こらえきれなくなったところでサティの「ハーモニー第2番」がペトロフピアノで奏でられる。以後「ハーモニー第1番」とアンビエントなシンセの世界が交互に続きアンビバレンツな世界ができていく。
 重低音で押しつぶされたリズミックなパターンの律動が始まる。その中でサティの「カレス」の断片が演奏される。左手のラインの持つ安定感が心地よく響く。弾いては休み、弾いては休み。高めるために、じらすために数回繰り返される。吐息が淡々とリピートされアンビエンスたっぷりのSEやノイズが緩やかな曲線を描いていく。
 やがて小休止。リリカルなサティのピアノ曲「イクザンプル」が挿入される。曲に絡むテキストはサティの名曲「ジュ・トゥ・ヴ」の歌詞部分である。

2. 2eme partie
「9月16日 日曜日 、土曜日の夜 、5月12日 月曜日 夜8時 、3月22日 木曜日 真夜中 、8月26日 11時15分前 、12月11日 9時30分 、4月7日 火曜日 午後4時 、7月13日 土曜日 朝10時15分」 〜 Words by Satsuki Shibano

「少しどう?
ショコラ、好きでしょう?
口の中でとかしてごらんなさい。」 〜 Words by Erik Satie (Valse du Chocolat aux Amandes)

 更なる高みをめざしパート2が始まる。吐息の中でサティの「コラール第10番」のごく短いフラグメンツのループが開始する。ピアノフレーズの断片を尾島が重ね合わせこのパートの骨格を作った。柴野は「9月16日 日曜日 、土曜日の夜 、5月12日 月曜日 夜8時...ハハ」といった過去なのか未来なのかわからない連続する時間を歌う。ストリングスがフェードインして大きな波を迎える。そして突然ノイズの中に墜ちていく。池田亮司(コプロデューサー)のノイズをコラージュした中でサティの「ノート」がうつろに漂う。元に戻るといっそう深いループが繰り返されている。ベーシックなシーケンスフレーズにもサティの断片が組み込まれている。チェレスタでおどけて見せたりノイズであおったりしながら延々と続き次第に一つの到達点へと向かう。
 ループが終わりサティの「コラール第4番、第1番」がピアノメインの演奏で始まる。
 陶酔感、法悦感、孤独感、絶望感が交差する世界。

3. 3eme partie
 パート3は「カレス」におけるタピオカ・ココナッツミルクでありジャスミンティー。
パート1、2といったディープな音づくりを続けていた二人が一方で気になっていた音の世界をラストに配してみた。
 リアルなアジアのSEがゆっくりフェードインして幸福感に包まれていく。濃い空気感、高い湿度感の漂うアンビエンス。尾島の「コレクシオン・デ・シェノン」の「レ・トロア・グラス」を大幅にリアレンジ。柴野はプリペアードピアノで基本シーケンスにアジアのアンビエンスをつけ加えていった。柴野のインプロビゼーションを尾島がカットアップして作ったハーモニックスギターの音を模したソロがたゆたう時間を編んでいく。
 そうして、すべてはアジアの雨音に包み込まれていく。

記:尾島由郎


取扱店:TowerRecords , WAVE , ARTVIVANT , STOREDAYS ,
Spiral MARKET (Tel.03-3498-5792)



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