about "Feuillet d`Album"

Feuillet  d`Album Image


「アルバム・リーフ」〜ピアノ姫と7人の作曲家たち
MEDIA RINGS-Euros
MGCC-1020 , ¥3,000 (tax included)

Copyright(c)1996 ONGAKU NO TOMO SHA CORP



Sound Icon Track.14 "Feuillet d`Album"




柴野さつき(PETROF Piano)

 エリック・サティの演奏家としてのみならず、最近はクラシックの枠を超えたコンテンポラリーな音世界を構築している柴野さつきが、前作「うつろな空想」以来一年ぶりにリリースするニューアルバム。
 このアルバムは柴野自身が選んだ数々の佳曲を集め構成したピアノコレクションである。「・・・作品集」といった辞典的なアルバムではなく、柴野がこよなく愛する名曲、それでいて日頃なかなか聴くことのできない曲ばかりを集めている。使用するピアノはチェコ製のペトロフ・ピアノ。前々作「カレス」で使用して以来、その音の虜になってしまった柴野が再び起用するペトロフ・ピアノは、現代のコンサートやレコーディングの標準器となっているドイツ系の重厚なコンサートグランドにはない、やさしさや親密感のある音色を持っている。
 ペトロフ・ピアノの音色と相まって、まさに「音のロマネスク」と呼べるアルバムの誕生である。


01. ドビュッシー/ルーブルの思い出
02. ドビュッシー/亜麻色の髪の乙女
03. ジャン・アラン/我は主の御召使なり、汝の言の如く我に成れかし
04. プーランク/夜想曲No.4(幻の舞踏会)
05. プーランク/即興曲No.13
06. プーランク/即興曲No.15(エディット・ピアフ讃)
07. サティ/やさしく
08. サティ/ジュ・トゥ・ヴ
09. ショスタコーヴィッチ/プレリュードNo.17
10. ショスタコーヴィッチ/プレリュードNo.19
11. シマノフスキー/プレリュードNo.7
12. シマノフスキー/プレリュードNo.8
13. シマノフスキー/プレリュードNo.2
14.スクリャービン/アルバム・リーフOp.45-1
15. スクリャービン/プレリュードOp.17-3
16. スクリャービン/マズルカOp.25-3
17. スクリャービン/エチュードOp.42-4

Total Time 47min.


7人の作曲家たちについて
柴野さつき

クロード・ドビュッシー  1862〜1918(フランス)
 “ルーブルの思い出”(1894年)は、一般的に知られている“サラバンド”(1896年)の初稿版である。ドビュッシーとサティが非常に仲が良かったことは有名な話である。サティの“サラバンド”(1887年)の7年後にドビュッシーが作曲したということが改めて興味を引いたのであった。当然のことのようにサティの影響があるものの、改訂版では感じられなかった神秘的な響きが、私をドビュッシーの世界へと誘う。

ジャン・アラン  1911〜1940(フランス)
 5年前に出したアルバム「ランデ・ヴ」の中で彼の曲の一説を使って以来、ずっと気になっていた作曲家である。フランスのオルガン奏者として有名なマリー・クレール・アランのお兄さんでもある。今回、とかく気をつけないと情感たっぷりの甘いアルバムになりそうだったので、彼の曲はふっと私を客観的な視点に引き戻す役割をしてくれた。

フランシス・プーランク  1899〜1963(フランス)
 「サティから受けた影響は、精神的なものと音楽語法の両面に渡っていた。」とプーランク自身が述懐していることが、私とプーランクの接点であった。しかしドビュッシーにしろプーランクにしろ、その作品が気に入ればどちらがどのように影響を受けたかなんてことは、私の中では次第に希薄なものになっていった。ピアノが自分の肉体となって息づき、歌ってくれる愛すべき作品である。

エリック・サティ  1866〜1925(フランス)
 1899年、サティはシャンソン歌手ヴァンサン・イプサのピアノ伴奏者となり、以後数多くのシャンソン曲を残している。サティの歌曲は、彼の作品集の中で聴くよりも、どういうわけかこの様に他の作曲家の作品と並べて聴く方が、私は好きだ。優しく魅力的なメロディーをピアノで口ずさむ。

ドミトリー・ショスタコーヴィッチ  1906〜1975(ロシア)
 彼の作風はジャンルによって異なるように感じる。室内楽のように少人数の聴衆、または交響曲のように多くの聴衆を相手にした場合、この時代の社会主義体制下における創作の難しさを思わずにはいられない。それでも、淡い哀愁を帯びた幻想的で詩的なこれらの小品は、若い頃夢中になった通称ショスタコの5番(交響曲第5番)をどこかで彷彿とさせる。

カルロ・シマノフスキー  1882〜1937(ポーランド)
 叙情的でロマンチックなものへの抑制に躍起となっていた20代の私には考えられない選曲である。スクリャービンのプレリュードを中心にして作ったアルバム「形のない息吹」を出した直後、「スクリャービンが好きだったら」といって友人が貸してくれた一枚のCDが、シマノフスキーのピアノ曲集であった。ショパンの死後低迷していたポーランド音楽に活を入れ、最終的には自国の民族様式を確立した作曲家である。これらのプレリュードはショパン、スクリャービンの影響が濃い、哀愁たっぷりのシマノフスキー10代の頃の作品である。

アレクサンドル・スクリャービン  1872〜915(ロシア)
 スクリャービンとは、アルバム「形のない息吹」以来の付き合いになる。彼の創造行為は性的イマジネーションと結びつき、神秘主義へと駆り立てた。晩年の作品では音、色彩、香水の使用までスコアに書き込み、芸術と五感を融合させながら、神との一体化を実現しようとした。難解であったり幼稚であったりするスクリャービンに振り回されながらも、どんどん彼の魅力に取り憑かれている私である。

ペトロフ・ピアノ(チェコ)
 4年前、1870年製のプレイエルピアノに夢中になっていた頃、私は何の予備知識もなく偶然にペトロフピアノに出会った。チェコにおいては日本のヤマハのようにアップライトからコンサートグランドに到るまで、どこでもお目にかかれるようだが、私の出会ったピアノは家庭用のグランドでコンサートグランドの脇にあってはひときわ小さく見えた。このペトロフは最近製造されたもので、まあるく優しい音を持ち、一音一音が個性的で濁りなく響き、極めてモダンである。改めてピアノは奥深い楽器だと思わずには入られない。


Produced by Yoshio Ojima
Co-produced by Satsuki Shibano

Recorded by Naoto Shibuya (CRESCENTE SOUND)
Recorded at ONGAKU NO TOMO Hall,Tokyo,June 3-6,1996
Mastering Engineer : Masao Nakazato at ONKIO HAUS
Piano Tuning : Tetsujiro Honma

Satsuki Shibano plays PETROF Piano (made in CZECH REPUBLIC)

Art Direction and Design : Tomoko Nakabayashi

Executive Producer : Kumio Horiuchi (ONGAKU NO TOMO SHA CORP.)
A&R : Toshiei Takatsu (MEDIA RINGS) , Takehiro Kohguchi (MEDIA RINGS)

Special Thanks to :
Hideo Miyazawa (HAMAMATSU RHF CENTER) / Hiroshi Emori (EMORI PIANO) / Nishida Yoriko / Norio Sato / Sanemasa Mushakoji (Cherubim) / Masahiro Fujimura (LARSON JAPAN)


取扱店:Amazon.co.jp




SS
Return to Home Page



Copyright(c) 1997-2008: Ojima Office Co.,Ltd. (chainon@db3.so-net.ne.jp)