XFree86 関連

Last update 2000.04.04

XFree86のPC-98x1対応について

最新版4.0について

長い開発期間を経てXFree86 4.0がやっとリリースされています。従来の3.3系 のものとは大幅な変更が行われたため、その変更について行けなかった幾つか のビデオチップ(主に古い物が中心)に関してはサポート対象から外れてしまい ました。ビデオチップのサポート状況は3.3系に劣るものの、MultiHeadモニター への対応等をはじめとした幾つもの新機能が実装されていますので、サポート されているビデオチップを使っている場合は試してみるのも良いでしょう。

PC-98でのXFree86 4.0のサポート状況

残念ながらNetBSD/pc98 1.4.1 pl038では、make出来ません。またバイナリ配布 されているものも動かないかも知れません(未確認)。原因は分かっているので、 恐らくOSへのパッチを作成して提供することになると思いますが、具体的な予定 は立っていません。FreeBSD(98)に関しては、V200内蔵のMystiqueが正常に動作 する事だけは手元で確認しています。Linux/98に関しては手元に環境がないため 私自身は未確認です。.....(続く)

対応するOSについて

PC-98x1対応のXサーバは既にXFree86のソースコードにマージされています。 現時点で対応するOSは次の4つです。
  1. FreeBSD(98)
  2. NetBSD/pc98
  3. Linux/98
  4. PANIX for PC98
Linux/98は既に幾つかの方法で入手可能です。SoftwareDesign誌の付録CD-ROM に収録されたりもしていますし、幾つかのディストリビューションにも含まれ ていたりもします。内容的にはFreeBSD(98)等と比べると、まだまだ対応機器が 少ないのですが、今後の発展に期待というところでしょう。 Linux/98は2.1.57ベースのα版がテスタ向けに配布された段階で、不特定な 人への公開はまだ行われていません。 386BSD(98)でも対応出来るかもしれませんが、誰も動作確認していませんし、 既に古すぎる状態なのでここでは無視します。XFree86自身が対応している OSかつPC-98x1系でも動作するOSでも、XFree86のPC-98x1用サーバがないもの として OS/2, WindowsNT があります。これらに関してはX98のメンバーは誰も作業していないので、 今後対応される可能性も低いでしょう。

PC-98x1用ビデオカードについて

内蔵ビデオカード(採用されている代表的なチップ)

PC-98x1シリーズの内蔵ビデオカードに使用されているものとしては大きく 分けて次のタイプに分類されます。
あくまでもPC-98x1上での事情に限定しておきます。また かなり主観が入っています
CirrusLogic GD54xx系
チップの特徴: 安価な価格設定、それなりの性能
エントリモデル(主にデスクトップ)の多くに採用されていた。
98の場合、GD5428/GD5434 辺りを採用した機種が多い。Noteの CLGD5428採用機種(Ne2/Nd等)では問題が発生している。8bppのみ の対応となっており、「16MBシステム空間を使用する」設定が必須。
CirrusLogic GD74xx/755x系
チップの特徴: Note用としては比較的高性能
最近のNoteにはGD755xかCyber938xが搭載されている。XFree86では 多少の問題を抱えつつも動作している。16bpp等での動作もOK。
S3 928/864/964系
チップの特徴: 発表当時はトップクラスの性能
928はAp2等、864はXs等で採用。964はEPSONの一部の機種で採用。 16bpp等での動作もOK
Trident TGUI968x系
チップの特徴: 比較的安価、価格設定の割には性能は高い
最近のデスクトップで採用されているケースが多い。残念ながら 性能面には大きな期待はできない。16bpp等での動作もOK。
Trident Cyber93xx系
チップの特徴: 比較的安価、そこそこの性能
最近のNoteで良く採用されている。PC-98x1用のXFree86のサーバでは 残念ながらまだ対応出来ていない。
Matrox MGAII
チップの特徴: 高価だが、発表当時は最高性能を誇る
暫く前のフラッグシップモデルで採用されていたが、残念ながら XFree86では使用できない。
Matrox Millennium/Mystique
チップの特徴: 高価だが、発表当時は最高性能を誇っていた。 現在でも2Dに関しては最速のものの一つ
最近の上位機種でよく採用されている。XFree86-3.3.2で対応された。 16bpp等での動作もOK。 ただしMystiqueに関しては幾つか問題点が残っている。
これらのうちで、MillenniumとS3 928/864内蔵モデルに関しては特にお勧めの 環境です。16bpp等の多色表示にも対応していますし性能も高い為、敢えて他の ボードを追加する必要性は薄いでしょう。CirrusLogic社のchipを採用した機種 の場合、コンソールへの復帰等で問題が発生しているケースが多いようです。 また最近多いトラブルとしては、CLGD543x系やCLGD544x系を使用している場合 で正しく表示されないというものがありますが、大抵は
option no_mmio
を付けると対応できる様です(3.3以降?)。

拡張ボード(Cバス,ローカルバス)編

PC98用として市販されたビデオカードの多くはCバス用です。ローカルバスが搭載 されたのは(当時としては上位機種である)A-MATEシリーズのみである為、需要が 少なかった為でしょう。その後、上位機種にはPCIスロットが搭載され、ローカル バスの優位性もなくなって行きました。

ローカルバス用のビデオカード
ローカルバス用のビデオカードはメルコのWSP-L以外は私の記憶にある 範囲では純正を除くとカノープスのPowerWindowシリーズのみです。 Power9000を採用したWSP-Lに関しては性能面や画質面等であまり良い 評価は得られなかったようでしたが、カノープスのPowerWindowシリーズ はいずれも性能面/画質面でかなり高い評価を得ています。その中でも PowerWindow964LBに関しては、現在も中古市場で3万円を越える様な価格 で売買されている事が珍しく ない様な状況です。
ローカルバス用のビデオカードに関しては、メルコのWSP-L以外つまり PowerWindowシリーズはXFree86で使用する事が出来ます。Windows(3.1) 上での様に、素晴らしくチューニングされたドライバがあるわけでも ないため、他のS3系chipを搭載したビデオカードと比較した場合に特に 強力なアドバンテージがある訳ではないのですが、それでもCバス用の ものと比較すると優位な面があるでしょう。
ただ、このタイプのビデオカードを使用できるのはA-MATEシリーズのみ であり、ローカルバス用ビデオカード自体希少なものとなっているため これから入手して使用するには厳しい面があるかもしれません。
Cバス用のビデオカード
Windows3.0/3.1発売以降、かなり多くのCバス用ビデオカードが発売 されて来ました。初期のものは単に解像度の向上や色数の向上を目的と したものが多かったのですが、徐々に性能や画質を強化したものが登場 するようになって来ました。
このタイプのビデオカードには、次のような大きな流行があったと私は 思います。
第一期
CLGD542x系を使用した安価でそれなりの製品が作られました。 このころの98はグラフィック表示の能力としては、基本的に EGC位しかもっておらず、とりあえず解像度や色数を向上させ る事を目的とした製品が多く、性能面や画質に関してはあまり 考慮されていなかったと思います。
このころの代表的な製品としては、メルコのWAB-S等が挙げら れるでしょう。
第二期
S3の928等の高性能なチップを使用したものが登場しました。 CLGD542xやその上位のCLGD543x等を採用したものも根強く、 安価な製品と性能/画質を重視した高級な製品と2分化する様に なりました。Windowsの本格的な普及にともない、ビデオカード の重要性が増して来た時期でもあると思います。98にも標準で ビデオカードを内蔵する様になって来ました。また、このころ 位までのビデオカードの中には、98標準ディスプレイ(マルチ シンクでないタイプ)で無理矢理640x500等の解像度で表示させる ものもありました。
PowerWindowシリーズ等はこのころ一世を風靡しました。
第三期
98にもビデオカードが標準で搭載されるのが当然になりました。 すると単に解像度の向上等の機能ではビデオカードの意義はない 為、性能の向上や大容量ビデオRAMの実装による高解像度環境下 でのフルカラー表示などの機能がなければならない様になって きました。更にはビデオアクセラレーション機能等を搭載する ことで動画を高速に表示したり、ビデオカード以外の機能を同じ カード上に載せるものも増えて来ました。このころに良く搭載 される様になったのは、Trident社のTGUI9660/9680やS3社の Trio64系でしょう。
第四期
ある意味、Cバス用ビデオカードの末期とも言えるかもしれま せん。高速なデータ転送が要求されるビデオカードの主流は PCIスロット用へ移行し、それまでのものよりも圧倒的に高速 なものがぞくぞくと登場するようになりました。このころの ビデオカードにはS3社のViRGE系等が採用されていたりします が、Cバスに接続されてはチップ本来の性能を生かす事はでき ないでしょう。
これらの様々な世代のビデオカードのうちで、XFree86を使用する上での お勧めとしては、PowerWindow928系辺りでしょうか。まず98版用に対応 が行われていないものは使用できません。似たような型番だったり、同じ チップを使用していてもハード的には大きく異なっている事が普通なので 確実に対応しているものを探す事をお勧めします。特に比較的新しめの物 は未対応(しかも対応予定なし)な可能性が高いです。また、Cバス接続の ビデオカードの場合、S3系でなければ8bpp(256色)しか使えません。4MBの VRAMを積んでいても解像度の向上の為くらいにしか使えないので注意して 下さい。
ローカルバス/Cバス用のビデオカードのうちで主な物を私の独断で評価してみます。 ここに挙げていない物でも有名な物はありますが、XFree86では使用できない物が ほとんどです。
WAB-S/1000/2000
EGCしか使えない環境からの御手軽な強化策としては、ある意味お勧めの 一つ。性能/画質に拘る場合には厳しいけど、1024x768x256色で満足でき るなら、ボードを中古で格安で入手すればいいでしょう。
WAP-2000/4000
4000を入手しても4MBのVRAMを使い切るのは厳しいので、価格差があるの であれば、2000で十分かも。
WGN-A/WSN-A
WGN-AはGANBWAPサーバで動作するとのこと。WSN-Aは専用のサーバがある ので、そちらを使用すること。これも無理に4MBモデルを狙う必要はない でしょう。
GA-98NB I/II/IV
これも無理に4MBモデルを狙う必要はないでしょう。GANBWAPサーバで動作 します。ICMのGI-5434シリーズはこれらのOEMです。個人的には安定して いるサーバだと思うので、Cirrus系ではお勧めの一つです。
GA-DR2/98,DR4/98,DRV2/98,DRV4/98
最近のXFree86ではうまく動作しなくなっています。XFree86 3.2 の頃は 動作していた様なのですが.....。これに関しても無理に4MB版を狙う必要 はありません。
PowerWindow801/805i
805iに関しては多少注意事項があります。使用する際にはドキュメントを 良く読んで下さい。これらは16bppを(確か)使用できないので、あまり旨味 はないかも....
PowerWindow928/928G/928II
可能ならVRAMが2MBのモデルを狙いましょう。1024x768x16bpp等が可能に なります。特に最近流行りのAfterstep等のカラーアイコンを大量に使用 する環境では256色では力不足です。
PowerWindow928GLB/928IILB/964LB
A-MATE系を使用しているのであれば、お勧めの一品です。ただし入手が 困難かもしれません。これも928GLB(1MB)より928II(2MB)を、964LBなら 4MBモデルを入手した方が満足度は高いとおもいます。ただし入手でき れば.....ですが。
PC-9821A-E01(1MB)/PC-9821A-E09(2MB)
純正のローカルバス版ビデオカードです。S3社の928を採用しています。 動作報告があったかどうかは定かではありませんが、16bpp以上が使用 できると思うので、2MB版の方がいいかもしれません。
PowerWindowのLB版へ乗り換えたユーザ等から譲ってもらう等の方法が 一番手軽な入手方法かもしれません。
PC-9801-85(1MB)/PC-9801-91(2MB)
純正のCバス版ビデオカードです。S3社の928を採用しています。これも 動作報告があったかどうかは定かではありませんが、16bpp以上が使用 できると思うので、2MB版の方がいいかもしれません。

拡張ボード(PCIバス)編

私自身はPCIスロットを持つPCを持っていないので、間違いが色々とあるかもしれ ませんが御容赦下さい。とりあえずPCI付きの98(V200M7)を入手したので、今後 はボードさえ手に入ればなんとかなる状態になりました。でも現状は純正のMystique しか持ってません。PCIのボードは、純正MGA-IIボードとMelcoのWGP-FXNとIO-DATA のGA-RUSH/6があります。MGA-IIが対応する事は難しいと思われますが、GA-RUSH/6の 場合はXFree86のapmドライバで対応しているので、対応作業は(時間と能力が許せば) 出来ると思います。VoodooBansheeの方はXFree86にパッチを当てて使っている人が 既にいるようですし、3Dfx社から2D部分のデータシートが公開されたので、今後対応 出来る可能性は高いと思われます。 PCI接続のビデオカードの場合、XFree86の98対応化作業は比較的少ない作業で済む ケースが多い様です。それでも98対応の為の作業なしに使用する事はできないので 対応済のサーバがある事を事前に確認してから入手して下さい。 もちろん自分で開発してやるぅ....と気力がみなぎっている人は止めません。 現状、対応済の物は次の物です。
GA-968V2/98PCI,968V4/98PCI
既に製造は終っている様ですが、確か最初に対応した98用のPCI版ビデオ カードです。S3社の968を使用していて、現在の最高レベルのチップには 見劣りするかもしれませんけど比較的高性能な筈です。
Millennium(MGA-2064W)
98の純正にもありますが、AT互換機用として売られていた物でもジャンパ の設定でVGAをdisableにする事で98で使用できる用です。98の純正品では RAMDACが170MHzなのに対して、220MHz版等のより高性能な物も使用可能な ようです。残念ながら後継のMillenniumII(MGA-2164W)は、VGAをdisable にできる構造になっていないようで、98で使用する事はできません。
Mystique(MGA-1064G) ValueStar系の純正品
単体売りしているMystiqueの場合は、半田鏝を使ってVGAをdisableにする ことで98で使用する事も可能なようです(ただし当然動作保証はありません)。 Mystiqueに関しては、98+XFree86の場合には幾つか問題があります。詳細は ドキュメントを参照して下さい。
Trident TGUI968x Xa系の純正品
これってPCIスロットにささっていたかどうか実は記憶が曖昧なのですが.. Xa*/WモデルはPCIスロット(GA専用で一般のPCIカードは使えないとかの噂も あるけど...)に刺さっていて、Xa*/C,Kモデル等はオンボード(ただし内部的 にはPCI接続)の様です。いずれも空きPCIスロットは原則として2スロットです。 これも動作しています。でもハードウェアアクセラレーションを有効に したりした場合に比較的ノイズが出やすいと思います。設定をちょっと変え ると消えたりもするので、ちょっといやらしいです(^^;;
(番外)GA-PIIH8/PCI(3Dlab社Permedia2)
Linux/98のユーザからXSuSEサーバを使用して、ちょっとした細工で使用でき たとの報告がありました。XFree86でもGlintサーバを少し改造する事で対応 できるのかもしれません。

歴代PC-98x1シリーズとお勧めビデオカード

歴代の98のモデル毎にお勧めするビデオカードや選定基準等を紹介してみます。
PC-9821以前
標準状態ではEGCモードしか使用できません。640x400と狭い上に16色しか 使用できません。それでもそれなりのメリットがある場合がありますが、 このクラスのマシンは能力的にも低いので個人的にはコンソールでの使用 をお勧めします。
ビデオカードを追加する場合でも高速な物を与えてももったいないので、 中古(ジャンク?)のWAB-S等で安く済ますのがいいでしょう。16bpp以上等 の多色環境が欲しい場合は、PowerWindow928系辺りを探すしかないでしょう。
FELLOW系(9821以後の9801系)
PC9801BX4とそれ以外で状況が違います。BX4の場合はPEGCモードを使用した 640x480/640x400で256色を使用する(NEC480サーバ)か、内蔵のCLGD5430を使用 して1024x768x256色等で使用する(NKVNECサーバ)かの選択が出来ます。通常は NKVNECを使用するでしょうけど....。いずれも256色までとなりますが、それ なりに使用できます。BX4以外の機種では9821以前と同様な状況です。一部に CバスにPC-9801-96相当品を実装したモデルもありますが、XFree86では対応 していません(正確言うとパッチを当てて動作した事例はありますが、まだ 組み込み作業が行われていません)。
BX4以外のモデルにビデオカードを追加する場合は9821以前と同様に考えて ください。BX4の場合は16bpp以上の色数を求めるケースが多いでしょうから PowerWindow928系等を探す事になるでしょう。
初代A-MATE(Ae/As/Ap)
この世代まではビデオチップを内蔵していません。それでもPEGCを搭載して いるので、標準状態で640x480/640x400で256色まで使用可能です。
ビデオカードを追加する場合、これらの機種はローカルバスを搭載しています ので、PowerWindowシリーズのLB版がお勧めです。ただし入手は困難かもしれ ません。また安価な中古品を購入して載せるのもいいでしょう。
初代以外のA-MATE(Af/As2/Ap2/An/As3/Ap3)
S3 928やVision864等を搭載しています。一部の高級グレードに搭載されて いるMGA IIは残念ながら対応していません。VRAMが2MB搭載されているモデル の場合は内蔵のビデオチップを使用するのが価格性能比を考えると最善かと 思われます。VRAMが1MBのモデルで高解像度&多色環境が欲しい場合には、 ビデオカードの追加が必要です。
ビデオカードを追加する場合、安価なものを選択する意義は少ないと思い ます。わざわざ追加するのであれば、VRAMが2MB以上でS3社のchipを採用し たPowerWindow928II系かPowerWindow964LBあたりにするのがいいでしょう。 純正ならPC-9821A-E09/PC-9801-91辺りでしょうか。ただし入手は困難だと 思われます。
B-MATE(Be/Bs/Bp/Bf)
CLGD5428(VRAM1MB)を内蔵しています。これはNKVNECサーバで使用可能です。 1024x768x256色辺りまでしか使えませんが、それなりに使えます。
ビデオカードを追加する場合は、主に多色環境を求める場合だと思います。 その場合の選択肢は前述のS3系の物しかありません。逆に1280x1024等の 解像度を求める場合は色々と選択肢があります。ビデオカードの追加で性能 面の向上を期待しているのであれば、止めておいた方がいいかもしれません。 Windows用であればチューニングされたドライバによって高速化できている 物もありますが、XFree86の場合は内部でローカルバスに直結されている利点 を逆転出来る程の差はないでしょう。
X-MATE普及機(Xe/Xs/Xp/Xn/Xe10等)
Xe系はCLGD5430,それ以外はVision864を搭載しています。Xe系に関しては、 B-MATEと同様に考えて下さい。それ以外に関しては標準でかなり高性能な チップが搭載されています。そのままNECS3サーバで使用できますので、他 の選択を行う意味はほとんどないと思います。
ビデオカードを追加する場合の方針としてもXe系はB-MATEと同様に考えて ください。Xe系以外に関してはVision864(VRAM2MB)が搭載されていますの で、ビデオカードを追加する意義はないと私は思います。VRAMを4MB搭載 したS3系のビデオチップを採用したCバス用のビデオカードはほとんどあり ません。S3系以外であれば幾つか存在しますが、16bppで使用できない為に +2MBのVRAMを有効活用できるとは思えません。
X-MATE上位機(初代Xa/Xt/Xf)
いずれもMGA IIを搭載(orビデオカードなし)となります。標準状態で使用 可能なものはPEGCモードを使用したNEC480サーバのみです。これでは寂しい のでぜひビデオカードの追加を行いたいところです。
ビデオカードの追加を行う場合の方針として、Cバス対応品を選ぶかPCI対応 品を選ぶかという選択があります。これらの機種はそれなりの性能があり ますので、できればPCI対応版が欲しい所です。
PCI接続のビデオカードの追加を行う場合、一番のお勧めはMillenniumです。 但し現行製品のMillenniumIIは使用できませんので、注意して下さい。また IO-DATAのGA-968シリーズの98対応版もいいでしょう(こちらも既に製造終了)。
Cバス接続のビデオカードの追加を行う場合、CLGD5434採用のGA-98NB系や WAP-2000辺りがいいかと思います。決して高性能ではありませんが、中古で 安く手にいれる事ができるでしょう。GA-DRシリーズは最新のXFree86では 動作しなくなっていますので、無条件にお勧めする事はできません。Cバス で多色表示を期待する場合は、PowerWindow系辺りを入手する事になると 思いますが、その費用を出すならPCI接続の製品の方がいいでしょう。
Xa*シリーズ(Xa7/Xa9/..../Xa20/Xa200)
Xa*シリーズには様々なタイプがありますが、基本的にTGUI968xを採用して います。それほど高性能なチップではありませんが内蔵のメリットは大きく 16bpp以上の多色表示も可能です。
内蔵のビデオチップで満足できない場合というのは主に性能/画質面の不満に よるものだと思います。お勧めはMillenniumとIO-DATAのGA-968/98PCI系です。 ただしいずれも製造を終えている筈です。
Xa7e/Xb系/Xc系
これらの多くにはCLGD544x系が搭載されています。どちらかといえば性能より も価格を重視したものです。NKVNECサーバで動作したという報告もありますが、 全てがOKかどうかは分かりません。動作しないとの報告をみたような記憶もあ ります。NKVNECサーバでは16bpp等の対応は出来ていませんので、256色までの 表示となります。もしPCIスロットに空きがあるなら、ぜひMillennium辺りを 増設したいところです。Xc系にはTGUI9680を搭載したモデルもあるようです。
増設するならぜひPCI対応のものにしましょう。お勧めはMillenniumとIO-DATA のGA-968/98PCI系です。
Xt*/Xv*/St*系
これらの機種にはMillennium(MGA2064W)が搭載されています。XFree86でも最近 98用のMillenniumにも対応しましたので、MGAサーバを使用して下さい。
ビデオカードの追加(変更)については、他に特にお勧めできる物はありません。
ValueStarシリーズ(V7/V9/V200)
ValueStarには幾つかの顔があって、初期の低価格モデルとしての製品と中期 の入門機/主力機としての製品と後期(?)のMMX対応上位機としての製品があり ます。採用されているビデオチップもCLGD544x系/TGUI9680/Mystiqueと3タイプ に分かれます。CLGD544x系はNKVNECサーバ,TGUI9680はTGUIサーバ,Mystiqueは MGAサーバで対応しています。CLGD544x系搭載機種に関してはXa7e等と同様に 考えて下さい。TGUI9680搭載機種はXa*シリーズと同様です。Mystique搭載の モデルに関しては、現状のMGAサーバでは不完全なサポートに留まっています。 問題点に関してはXFree86のドキュメント(README98)に記述しています。問題 の(本質的な)回避時期は不明ですので、運用に支障がある場合は別途ビデオ カードを追加する事を検討した方がいいかもしれません。
Multi/CanBeシリーズ
多くはCLGD54xxを採用していて、NKVNECサーバで対応できるものと思われます。 詳細はB-MATE等の解説を参照して下さい。
MATE Rシリーズ
TGUI9682を搭載したRa/Rs系とMillenniumを搭載したRv系があります。Ra/Rs系 に関してはXa*系と同様に考えて下さい。これらの機種にとってあまり高性能な ビデオチップではないので、ビデオカードの追加/変更を検討するのも良いかも しれません。Rv系に関しては標準のMillenniumをそのまま使用するのがベスト でしょう。
[NOTE] Ne以前
9801ノートの全てが該当します。EGCサーバしか使えません。また液晶自体が 640x400で表現可能な色数も少ないので、Xを使用するには不向きです。
110pinコネクタにCバススロットを増設すると外部モニターにビデオカードを 使用した表示も可能かもしれませんが、コストを考えると止めた方が良いで しょう。
[NOTE] Ne/Ld/Lt(/Nm)
これらの機種はPEGCモードを使用した640x480x256色の表示が可能です。
[NOTE] Ne2/Nd/Ns/Np/Nf
これらの機種は内蔵CLGD5428をNKVNECサーバで使用する事が可能です。ただし 最近は"黒"が"白"として表示されるという問題が発生しています。この回避に はVirtualを1024x1024に設定するとかModeLineの設定を変える等の方法がある ようです。
[NOTE] Ne3/Nd2/Lt2/La10/Na系の多く/Nr系の上位機種/Nw系
ほとんどがCyber93xx搭載機種です。現在のTGUIサーバはCyber搭載機種では 正常に動作しておらず、Ne等と同様にPEGCモードでの表示しかできません。
Cyber9385系の方が望みがありそうです。
[NOTE] Na系の一部/Nb系/Nr系の低価格モデル
これらはCLGD754x系やCLGD755xを搭載しています。CLGD755x系に関しては、 La13/Ls*と同様にSVGAサーバで動作する事が期待できます。CLGD754x系に関 してもSVGAサーバ又はNKVNECサーバで動作するかも知れませんが、動作報告 はまだ聞いた事がありません。もしSVGAサーバで動作するなら16bpp以上での 多色表示にも対応できるでしょう。
CLGD754x系では現状のXF98_NKVNEC,XF98_SVGAでは問題があるようです。
[NOTE] La13/Ls系(/Nb系?)
CLGD755xを搭載しています。内部的にはPCI接続されていて、16bpp以上での 表示も可能です。まだ問題も残っていますが 800x600x65536色 表示を捨てて PEGCサーバを使用するよりはいいと思います。
その他
ここに挙げた他にも洩れたマシンがあるかもしれません。あとEPSON系の98 互換機に関してはほとんど知らないので割愛しています。

現在のXFree86の98対応サーバの問題点

最近はかなり多くの機種でXFree86を使用できるようになりました。今抱えている大きな 問題点としては、次の物が挙げられると思います。少なくとも一度は対応したものと現在 対応作業中の物を書いてみます。
(いきなり番外)XFree86の大改造に98対応コードがついていけていない。
今、XFree86では次期リリースに向けて大改造が行われています。PC/AT互換機 用のサーバでも対応出来ていない物が沢山ありますが、98用のサーバはまだ1 つも対応出来ていません。人手と時間が不足しているのが最大の原因なので すが、なんとか追い付かないと次のリリースではPC-98はサポート外なんて 恐い状態も......(まぁ98に限った事じゃないんですけどね)。
Cyber93xx搭載機種への対応が出来ていない。
Cyber搭載機種はかなり多くて、800x600以上の液晶を装備しているモデルも 沢山あるのですが、残念ながらPEGCモードを使用した640x480での使用しか 出来ない状況です。800x600以上の液晶を使用していると640x480の外側の部分 が黒い枠の様になって、とってももったいないです。
Mystiqueの動作が不完全。
自力でのビデオチップ等の初期化が不完全であるためと思われますが、一旦 Win95等を起動する必要があります。Microsoft嫌いな人にとっては凄く悔しい 状況です。あと8bppでの表示にも問題があります。
最新版(未公開バージョン)では解消しました(^^)。8/15/16/24bppでの正常 動作が確認出来ました(ただ別な問題は残ってるけど..)。
CLGD755xの画面切り替え周りが不完全
コンソールへの復帰時にコンソールの表示がされなくなったり、X起動時に 中央の640x480が真っ暗になったりします(ソースをいじった場合)。
CLGD755xで起動時のログで液晶のスペックを正しく取得できていない。
XFree86-3.3.2ではCLGD755x系のコードが不十分な部分がかなり残っている 為です。対策用のパッチを作ったので次のリリース時には正しく検出され ると思います。
IO-DATAのGA-DR系をTGUIサーバで使用すると正常に描画されない。
以前(3.2頃)は大丈夫だったのですが、今はおかしくなっています。対応の メドも立っていません。
CLGD5428搭載のNOTEで、黒が白で表示される。
ktermの文字等が見えなくなるとの事です。幾つか回避策は見つかっています が、真の原因がどこにあるのかは不明なままです。
Millennium/MystiqueをNetBSD/pc98,Linux/98で使用した場合に仮想コンソール 切り替えを行おうとするとハングします。
原因は既に判明しています。次のリリースの時には対処できている筈ですが、 サーバを自力でmakeできる方の為に変更点を紹介すると、mga_driver.c と いうファイルがXFree86のソース中にありますので、その中の MGAEnterLeave() という関数の最初の方に次のような部分がありますので、#ifndef PC98_MGA と #endif を削除して下さい。なお、この処置はFreeBSD(98)では不要です。
         #ifndef PC98_MGA
                     xf86EnableIOPorts(vga256InfoRec.scrnIndex);
         #endif
他にもなにかあったかもしれませんが、ちょっと思い出せません。
つづく.....かもしれない。

(番外)我家で動作確認可能なハードウェア(ビデオカード)

XFree86でサポートされていない物も含めて、手元で確認することが出来る ハードウェアです。いつも使っている訳ではないので、確認しているとは限りま せんし、今後動作確認するかどうかもわかりません。
  1. PC-9821V200/M7 内蔵Mystique 4MB ◎
  2. PC-9821La13/S14 内蔵CLGD7555 2MB ◎
  3. PC9821Lt2/D3 内蔵Cyber9320 1MB ○
  4. PC-9821Bs/U7W 内蔵CLGD5428 1MB △
  5. Melco WAB-S CLGD5426 1MB ×
  6. Melco WSN-V2M S3 Trio64V+ 2MB ×
  7. IO-DATA GA-RUSH/6 ProMotionAT25/VoodooRUSH 4+2MB ○
  8. IO-DATA GA-PGDX4 S3 ViRGE/DX 4MB △
  9. ICM GI-5434-4M CLGD5434 4MB ○
  10. Melco WGP-FXN VoodooBanshee 16MB △
  11. Canopus PW928G S3 928 1MB ×
  12. PC-9821X-B01 MGA-II(PCI) 2MB ×
  13. PEGC ○
  14. EGC ×
 ◎  常用している(頻繁に動作確認している)
 ○  すぐにでも動作確認は可能
 △  多少の作業で動作確認する事は可能。
 ×  動作確認するのが非常に面倒
 ?  正常に動作するようになれば、◎に格上げ?
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