子連れ韓国バス旅記(2) 子供に一番優しい人は・・?


韓国のバスは、まず一言、とばします!で、高速道路でもしょっちゅうブレーキ踏んどります。ですから、最初に乗った、閑麗水道国立公園の町、統営(トンヨン)行きバスは、子供達の要望により、一番前の座席に座っちゃったもんで、足踏ん張りっぱなしでした。ところで、バスの良さは何と言っても車窓。都会から離れ徐々に変わっていく風景や、立ち寄る小さな町の賑わい、ほんといいものです。しかし現実は子連れ。2時間もつか、と心配でしたが、ケータイはよー鳴るし、大きな声でしゃべっとるし、子連れには丁度良いざわめき。快適なバスの旅になりました。

トンヨンはプサンの西、ちょっと田舎の港町です。人も時間の流れものんびりムード。ターミナルに到着して、路線バスに乗り、旅館を探す中、今回も数々の出逢い、ありましたよ。

まず、この町最初の人は、みかんを山積みにした果物屋のおじさん。ここまでも、何人もの老若男女に尋ねてきたわけですが、意外にも・・子供達に一番優しいのは、お・じ・さ・ん。年齢で言うと50歳前後の。 さて、何語で話しかけるの?と言うと、
「ヨボセヨー。チョヌン イルボン サラミムニダ」。(すみません、私は日本人ですが・・)と、最初の一言だけ現地の言葉で、あとは目と身振り手振り。
教えて貰ってバス停で待つこと数分。1台のバスが向こうから近づいてきました。すると、さっきのおじさんが店から飛び出てきて、私たちに向かって叫ぶんです。「これ!これに乗るんだよ」とわざわざ。うれしいですね。しかも、バスの運転手さんに、「南望山公園で降ろしてやって」と頼んでくれたようで。運転手さんも、停留所でないのに、公園の入り口に一番近い場所で降ろしてくれました。

旅館を探している時、声をかけたのは、焼き饅頭を焼く屋台のお姉さん。するとそこで食べていた鼻を赤くしたおっちゃんが、歩くと大変やから、と仕事用の軽トラで送ってくれました。たくさんの屋台が並ぶ市場では、揚げたてドーナツに目がくらんだ?2歳の次男が、どこからか持ってきてしまい、“うひょーいつの間にぃ!”と大慌て。でも、みんな笑って温かく見守ってくれて、ちゃんとお支払いすることできました。

泊まりは1部屋2万5千ウオン(約2500円)の韓式旅館のオンドル部屋。6畳位の広さに、テレビと冷蔵庫と洋服ダンス。おふろトイレも清潔です。“オンドル(床暖房)にフトン”という日本と似た文化なわけですが、違いは、その床暖房のムラ。部屋ごとに独立した床暖房じゃないから、自分が熱いからって切れないんです。ですから、寝てる最中熱すぎた場合はちょっと大変。でも今回、窓(外)側の隅はあまり効かないことを発見。子供共々、コロコロしてました。

さて、子供達の半ズボン姿は、んまーどーして!という目で見られたわけですが、こっちの子供たちの格好は11月上旬でも既に真冬、足出すなんて以ての外!って感じです。毛糸の帽子までかぶってる子もいましたし。“子供は風の子、大人より1枚少なく着せましょう!”って、日本の考えだったんですねー。
最終日、東来の金剛公園のガイドさんからはこんな話を聞きました。
「子供に対する思い入れとか、期待とか、日本人よりはるかに大きいんですよ。男の子は特にです。小さいときは風邪を引かさないように注意しますよ。教育にも熱心です。受験生になったらタイヘンですよ。親は必死です。ここのお寺にも毎日来られてますよ。ほら、あの方も・・。」
そこには、上半身を床に伏せて、一心不乱にお祈りする中年女性の姿がありました。
「あれが韓国のお祈りですよ。日本はあんなにしないでしょ。そうそう、ワタシが日本のお寺に行ったとき、ビックリしました。日本人はおカネ投げてるでしょ。神様に失礼じゃないんですか?・・」と。

帰りの船の中、5歳の長男に
「韓国は、何が楽しかった?」と聞くと
「遊園地とポケモン!」という返事。さらに
「ほら、あのおじちゃん優しかったね!」としみじみ。どのおじちゃん?と聞くと、慶州エキスポ会場にあった遊園地のスポーツカーアトラクション係りのおじちゃんのことだと。おまけで、長ーいこと乗せてくれたり、他の遊具にもポケットマネーで乗せてくれてですね。長男の心には、あのときの感動とおじちゃんの優しい笑顔が刻み込まれたようでした。