編集好奇 '04年2/26 byカヤノカツミ
■今回のゲスト「益正」（ますまさ）は、居酒屋レストラン｢益正｣･創作梅料理｢梅草｣･菜'sバー｢在(ある)｣等を福岡市中心に約25店展開｡年商31億で従業員は約900名｡昨年末に資本金を約2億に増資し､業界最年少で上場か？
草野さんは昭和42年福岡生｡母子家庭に育ち､自炊料理･サッカー･ケンカ？に熱中｡近大短大卒後､音楽ＣＤの訪販･居酒屋｢天狗｣の店長を経た'93年26歳の時､母の自営喫茶店を｢居酒屋れすとらん益正｣に改装して創業｡チェーン店定番の工場集中調理を否定｡極力､生＆近隣地元産の新鮮素材を使い､高品質&低価格の料理を各店で手造り｡
接客サービス力も高い｡基本理念<10さ>安さ･早さ･おいしさ･素材の良さ･豪華さ･豊かさ･清潔さ･楽しさ･うれしさ･明るさをベースに､強い意志の<益正イズム>５つの力＝普遍的持続力･現場実行力･積極的対話力･変化対応力･独創技術力をいかに構築したか・・の話。
■創業はまだ10年あまりの37歳。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。草野さんとは数年前から、たまにランチェスターの勉強会や会合ですれ違い、店もあるので存在は知っていました。そして、年を追う事に様々な人から店の評判も勿論ですが、「草野社長が素晴らしい」という声を、明太子「ふくや」の川原社長やソニー生命の並河さん、ランチェスター経営の稲田さんなどから聞き、これはいつかゲストで話してもらおうと思っていました。そして数ヶ月前、偶然、コーチング「ビジネスナビゲーター」長田さんのセミナー時、昼飯に誘って戴いた時に同席し、これは何かの縁だろうと、今回に到りました。
しかし、面白いもので、今回の案内を告知すると「いやー、大物ですね。期待しています！」「楽しみです！」の一方、「えー、益正？俺は春日店で酷い目に会った」「姪浜店はサイテー」という声も、非常に少数ですがありました。これは一般大衆を相手にした商売では、必ず起こる現象で、それだけ多くの人が利用している証拠。
今、批判された「姪浜店」は、そこで昼飯を食った西京銀行支店長は「さすがだった。店ごとの客層に合わせ、ランチも夜も違う。私が行ったときは満杯で、あの値段であの味と雰囲気なら満点ですな」という一方、「でも、店外の植木の手入れがも一つでした」。
■私がよく行く家のそばの「元祖 長浜ラーメン」も、「今どき400円で、替え玉、替え肉も50円。かつ、ものすごくオイシイ！」という人がいる一方、「ありがとうも挨拶も何もない。サイテーだ！２度と行かない！」という客もいます。かくいう私も、当初この店に何回か行ったときは「挨拶がない（ここは一切、いらしゃいませ、ありがとうなとの声かけなし)」「味も？だし、面もパサパサ。なんで人気あるの？」と思ったモンです。しかし、８年経った今、最も通う店になりました。外見はバラック建てみたいな感じ。家の隣で24時間営業と言うこともあり、他にない場合に仕方なくだったのが、なぜ、こんなにファンになったのか。そして、なぜ、いつも満員なのか。８年毎日観察していて気づいたことがあります。
ここは福岡魚市場の隣で、かつ、トラックなどの裏通り。つまり、ここのメイン客層は肉体労働者、プラス、隣の24時間ボウリングやカラオケでヘベレケのリーマン＋若者。人は疲れたときには、他人に気を使いたくない。元気な声もうるさい。その点、この店は入って座るとすぐにラーメンが出てくる。 一言も話す必要はない。接客がない＝客も気を使わなくていい＝メイン客層には最高の接客なんですね。かつ、ボロな店構えは、長靴やドロやペンキだらけの作業着肉体労働者や、短パンぞうりの人も気楽。デートにも使う一風堂みたいなラーメンと接客を期待する奴は、ここの客じゃないわけです。しかし、サービスや味や外観にうるさい人には最低の店。それでいい。近くのカッコイイビルに改装した店は、肉体労働者が離れ倒産。自分の見栄を優先＋客層戦略の失敗です。
■「一風堂」河原社長や3/14のホワイトデー創案した「石村萬盛堂」石村社長、九州最大の宅配すし「ふく鮨本舗の三太郎」蔀社長などは「どんなに努力や改善、従業員教育しても、毎日必ずクレームが来る。中には嫌がらせもあるが、大半はこちらのミスや至らなさ。傲慢になる暇がない。だから有り難い。毎日がまさに修行だね」と言います。
かく言う私も、以前はわずか30数社のみを相手にした法人営業で、いわゆる一般大衆を気にする必要はなかったんですが、本やテープが７万部出たり、ネットのｈｐで年間100万アクセスあったりすると、ほぼ毎日クレーム、またはネットの掲示板「２ちゃんねる」でバッシングされます。
最初は無視無視、なんとバカな奴らだとか思っていたんですが、無視せず精読すると、誹謗中傷的な意見の、10のうち１〜３は自分が気づかない、ハッとするほど当たっているんですね。これがイイ。最近は快感ですね。
いかにお客の声をすくい上げる仕組みを作るか。
「ふくや」や「三太郎」「石村」「やずや」「カレーココ壱」らが、お客のアンケートハガキ収集にやっきになっている理由が少しわかる、今日この頃です。
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