ASOR 番外編&勝手にレビュー番外編


All The World's A Stage (Digital Remaster Ver.)


たーく ベース、ヴォーカル
ぷらっと ドラムス
らーくすと ギターとコーラス



 !!!!この音の違いはな・な・な・何?一皮どころか、二皮か三皮むけてます!今までの ATWAS といえば、その内容には文句はないものの、全体に真ん中にかたまった音像、しかもヴォーカル以外が前に出ない、細部のはっきりしないものとして悪名高いアルバムだったのですが....

 もう一曲目からノックアウトです。こんなにベースの音が響くなんて!太鼓の各パーツの音も、定位がはっきりしているし、輪郭が全然ぼやけていない!ラークストのギターに至っては、ギブソン!という音の艶がはっきりと表現されている!
 2112 の Temples Of Syrinx の終盤、プラットの叩くスネアの裏ヘッドが破れ、スナッピーが利かなくなっているのもはっきりと聴き取れます!すごい!

 ギターのバッキングの部分は、少々ミックスが小さいようにも感じますが、ESL のリマスター盤も同様なので、これは意図的なものなのでしょう。確かに、ラークストのバッキングは、リフ、というよりもキーボード的な全体の厚みを増すように作用していますからね。

 今までの CD でカットされていた What You're Doing もちゃんと入っています。この時期のこの曲の演奏はなかなか珍しいと思います。珍しいといえば、3曲目にいきなり Fly By Night/ In The Mood メドレーが入っているのも同様ですね。これは、ライヴ盤のとりということで(実際のセット・リストで)あえてここにもってきたのでしょうか?それとも、やはり "2112" のあとに演奏されたものを編集の段階でここにもってきたのでしょうか?
 どちらにせよ、FBN から ITM に移った直後、ラークストのギターリフの部分でタークが場所の名前を叫んでいないのは、明らかにライヴ盤に収録することを前提に演奏していたからでしょう。

 ところで、"In The End" のブリッジ部で、タークが "One, Two, Buckle My Shoe!" と叫んでいますよね。スタジオ盤では "One, Two, Three, Four!" ですし、そう叫んでいるライヴもいくつもあります。ではこれはなんなんでしょう?
 これは、実は "Nursery Rhyme" が出典なのだそうです。(原さん、情報ありがとうございました)

 この FBN/ ITM のメドレーの位置を除くと、ほぼ "2112" tour のセットリスト通りのこのアルバム、実際の収録は1976年、6月11、12、13日の3日間、トロントはマシーホールを借り切って行われました。"2112" tour の最後の3日間です。
 3日とも録音されましたが、最終的には「機材の調子が良くなく、頭に血が上って訳が分からなかった」と後にプラットが語った3日目の演奏が主に使われています。

 しかし、それまでに2度このマシーホールで演奏したことがあるにしろ、初め2日の予定だったものが、チケット完売で3日目が追加されるほど、Rush の人気が上がっていたのです。ATWAS で聴ける聴衆の歓声がそれを物語っていますね。

 とにかく、今までどのようなフォーマットの ATWAS を持っていたとしても、この Digital Remaster ver. の ATWAS は「買い」です!このページのこんなところを読むあなた、買わないなんて罪ですよ。


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