勝手にレビュー


Fantasma/ Cornelius


Cornelius (Keigo Oyamada) All sounds



 フリッパーズはピンとこなかったんです。コーネリアスの 1st も全然おもしろいと思わなかったんです。でも、2nd、"69/96" を聴いて認識が変わりました。そこへ間髪を入れずこの 3rd。すごいっす。小山田さん。

 もうフリッパーズの面影は全くありませんね。”今”の音をたっぷり詰め込んであります。テクノ、ジャングル、ドラムン・ベースに急接近、というか、曲によってはまさにそのものになっています。特に、先行シングルで発表され、今(8月終わり)テレビなどでがんがん紹介されている "Star Fruits Surf Rider" は、Aphex Twin ばりのドラムン・ベースを展開しています。
 実はこの曲、先行シングルの状態では2曲で1曲という、掟破りな曲でした。小山田なヴォーカルと、アコギによるスローテンポな "Star Fruits" と、ちょうど倍速になるドラムン・ベースの "Surf Rider"、この2曲を同時に2台のプレイヤーでかける(!)と、"Star Fruits Surf Rider" になるという...何というか...
 しかも、テレビライヴを見たのですが、なんとドラマー2人(一人がハットとベードラだけ、もう一人が高速タム回しだけ)に叩かせているじゃないですか。何者なんでしょう、彼。

 そのほかの曲も非常に聴きやすく仕上がっています。よく聴けばなんだかミョーなこといっぱいやっていますが、とりあえず聴きやすいです。

 聴きやすいテクノ。全体の印象はそんな感じです。でも、完全にテクノというにはロックっぽい各曲の構成、親しみやすいメロディです。だから、日本で受けるんでしょうね。決してダンスミュージックではありません。
 曲間がまったくなく全体がつながっているため、1曲1曲のイメージよりも全体を通した、なんだか遊園地にいるような、様々な景色が印象に残ります。イイ感じです。

 残念ながら、初回限定のステレオ・イヤホン付きパッケージはもう入手困難のようですが、通常盤が9月にでるので、"Star Fruits Surf Rider" が気になる人はチェックしてみてもいいんじゃないでしょうか。ここにあるのは、小室ミュージックの対極にある、音楽に対する思い入れの詰まった音楽ですから。
 といっていたら、通常盤が発売になっていました。なあんと、ボーナス・トラックを収録しているじゃないですか。な、なぜ...

 それにしても、こういうのが流行るんならまだまだ日本も捨てたもんじゃないと思っちゃいますね(えらそうに (^_^;)。


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