Ray Alder | Vocals |
Jim Matheos | Guitar, Guitar Synth |
Mark Zonder | Drums |
Joey Vera | Bass |
Kevin Moore | Piano, Keyboards |
過去数枚 Fates Warning のアルバムは聴いていたのですが,いまいちピンとこない,可もなく不可もなく,という印象でした.が,この新作はいままでとは違いました.全曲ギタリストの Jim Matheos ペンによるコンセプトアルバム.ここ数年の FW の楽曲が常に持っていた,圧迫感と暗さがコンセプトというものでまとめられたとき,こんなにも威力を発揮するとは.
Fates Warning はその始まりはずっと早いのに Queensryche 系バンドのレッテルを貼られ,不遇の時を過ごしてきました.Perfect Synmetry の頃からテクニカルなヘヴィメタルバンドとして認知され始めましたが,楽曲自体の魅力が今一つだったため,結局浮上することはありませんでした.テリー・ブラウンをプロデューサーに迎えた Parallels から格段に録音の質が上がったので,もう少しで...と思っていたのですが.
とにかく圧倒的な緊張感です.かの Queensryche のコンセプトアルバム,Operation: Mindcrime に匹敵すると思います.しかし全体の印象はまったく違います.もっとずっと我々個人個人に近い話のはずです.たった2,3回読んだだけではその意味をくみ取ることは難しいと思いますが,このアルバムは歌詞をしっかり読みながら聴いていくとこの暗さが理解できるのではないでしょうか.
楽曲自体の魅力は未だ乏しい感もしますが,今回はそれを補ってあまりある歌詞と曲の雰囲気との連係があります.多少不自然な変則拍子などもありますが,既にテクニック的にはなんの問題もないレベルですのでそれほど文句を言う必要もないでしょう.
最後になりましたが,Kevin Moore. 決して彼でないといけないような部分があるわけではありませんが,主にピアノによる(メロディというよりは)雰囲気作りなど,彼の貢献によるのであればすばらしいと思います.
そして,もしそうだとすればこれはなぜ Dream Theater を脱退したのか,という問いに対するひとつの解答を示しているのかもしれません.