Tim Hodgikinson | Organ, Alto Sax, Clarinet, Piano |
Fred Frith | Stereo Guitar, Violin, Xylophne, Piano |
John Greaves | Bass, Piano, Voice |
Chris Cutler | Drums |
Lindsay Cooper | Basoon, Oboe, Recorder, Voice |
Henry Cow... 後に確固たる自分の音とともに多数のセッション活動を行ってゆく面々の始まりの地点.即興で形作られた曲の徹底的な再構成と,多種に渡る楽器,ときには自作のものを含む,によって演奏されるその楽曲はカンタベリー系に属していながら異彩を放つ.
このアルバムは3曲目,Ruins があるためにときどき聴きたくなるアルバムです.しかしそれ以外の曲ははっきり言ってあまりピンときません.私にとって Henry Cow の「アルバム」で好きなのは,即興からの再構成という手法が完全なものになっていない(と感じる),ある意味詰めの甘い,そこが魅力的な Legend と,非常に硬派のジャズロックアルバムになった Western Calture なのです.もちろん In Concert もすばらしい曲が納められていると思いますが.
Fred Frith, Chris Cutler という,私にとっての偉大な,こういう言い方には語弊がありますが,セッションミュージシャンの初期の一面,という意味でこのアルバムは重要だとは思います.Frith の Step Across The Border フィルムで見られる作曲の手法の一部は明らかにこの時期に生まれたものであると思うからです.
1曲目の Bittern Storm over Ulm は後の Frith の楽曲との共通点がはっきり見いだせますし,Solemn Music におけるもの悲しいメロディは心を打つものがあります.本来の最後のトラック,Deluge の噴出しないパッションもすさまじいと思います.
しかし私にはやはりこのアルバムは少々繊細すぎるようです.
ところで,CD 化に際して2曲の Unrest セッション時の音源が加えられています.これらはまだ詰めが甘いせいか,私にはとても面白く感じられる楽曲です.