Part2


【究極の発芽法】

今回は東京で昨年開催されたアルパインプランツ・ガ−デンクラブ例会の質疑応答の時間に聞きこんだお話から。
「究極の発芽法;シャ−レに脱脂綿をいれ湿らせてメネデ−ルを加えて、充分に湿度を保ち、10度から25度までの温度管理をすればほとんどの種子は死んでいなければ発芽します。発芽したところで バクテリアを避けるため、電子レンジで殺菌した土に植え替えてやれば良い」とのこと。
うちでは、1年以上経ったチャ−ビルとかの発芽率の急激に落ち込んだ種に試しています。 透明のプラスチック容器にティッシュを適当に敷いて、メネデ−ルを注ぎ、種をバラバラ播いて蓋をして屋内温室の隅っこに置いておくと3日ぐらいで発芽しますので黒ポットに赤玉土を入れたものに植え替えます。
あまり大事にしてないので電子レンジでの滅菌まではしていません。

メネデ−ルは原液を使用してください。
電子レンジでの滅菌もそのものずばりで、土を電子レンジに入れて 加熱してください。



【名人芸】

アルパインプランツ・・・日本でいえば山野草といったところですか。その協会があるのですが、ただでさえ繁殖の難しいこれらの植物を殖やす、いわば必殺わざがあるそうです。 まさかこんな簡単な方法なの?と、言われそうですが台所にあるもので、栽培不可能と思われてきたものが可能になったそうです。
ハ−ブでもたぶん効果がある、と思われるのでお伝えいたします。
ただし、これは高山植物や山野草の人たちが長年かかって開発してきたそうですが、なぜ効果があるのかは不明。
それは、砂糖とダンボ−ル ・・・

最近はハ−ブもだいぶ一般的になって大量のポット苗が手軽に購入できるのですが、元来むこうの植物ですから園芸農家のビニ−ルハウスや店頭まではなんとか元気でも自宅で植えるとうまくいかないものもあります。
そこで、こういった植物を上手に殖やす人を「名人」とか「名人芸」とかいうわけです。どこがちがうか、と言うと、接している時間が長かったり(これを愛情という人もいますが)する訳です。
それと経験量です。そこで、だれが研究開発したかは分からないのですが、ダメ−ジを受けた苗の回復に効果のある方法として、砂糖水培養というものがあります。
地植えでは育っても鉢植えでダメな植物とか地上部を虫にほとんど食べられた苗が回復した、あるいは原種に近い種で環境の変化の為にその環境では枯れやすい種類に対して有効といった広範な植物に効果のあがる方法ですので、一般種より弱いとされる斑入りや細葉で育ちにくいところの方は試して見るのも良いか、と思います。
砂糖1%水溶液を苗の状況を観察しながら10日に1度くらい与える。(頻度は調節してください。)
株の消耗を防いで種子を確保する場合は、花茎を切り取り砂糖3%水溶液を入れた花瓶にさし、種が完熟するのを待つ。
カビには注意しなければなりませんが、まだ気温の上がらない時期 であれば有効な方法と考えられます。



*アルパインプランツ・ガ−デンクラブはRHS日本支部で発足した会で、基本的にはRHSの会員が対象になっているようです。



【ダンボールの正しい使い方】

ダンボ−ルの正しい使い方は、ダンボ−ルを培養土に混入することによって、いろいろな植物の生育が飛躍的に良くなることが知られています。
もともとは栽培不可能もしくは5年以上の継続栽培が困難とされてきたラン科の植物の育成家の間で知られてきた方法です。
現在ではいろいろな植物で実験され急速に広まっています。
傷んだ株の驚異的な回復効果や劇的な発根率、活着率が報告されていますが、なぜ効果があるのかはまだ不明です。今年からいくつかの研究機関が研究対象にしているようです。
ちなみに私のRoでは90%以上の活着率を示しています。

方法は、刻んで用土に混ぜ込むのです。または、短冊状にして鉢壁にそって差し込むのです。
実生種の植付けで100%の活着率、根伏せ繁殖の成功率ほぼ100%の報告がはいっています。
ダンボ−ルはなるべく厚いものを、30%以上は混ぜてください。



【挿し芽(木)について】

紫蘇科のハ−ブを殖やすうえで必修科目の栄養培養のお話です。
そもそもギリシア語で「小枝」を意味するクロ−ンとは、皆さん良くご存知のように「挿し木」のことです。根づき易い小枝を 細菌のすくない用土に挿し、適切に水管理すれば発根して親木と全く同じ遺伝形態を持つ別の個体ができるという、しごくあたり前の ごくごく私たちの身のまわりで経験的に知られている植物の行動である、とともに動物(一般的な意味で)と植物体との決定的なちがいであると言われている「生殖」方法です。

さて、挿し芽の方法ですが、私のやり方はいたって簡単です。
桐原春子さんの本ではペットボトルを切りぬいて挿し木用器を創っておられますが、私はなかなか15cmも枝を切って挿し木に使うなど勿体なくてできませんので(結構貧乏性ですね。でも、元の株はなるべく小さくしたくないのです。)豆腐一丁のプラパックの底に千枚通しで適当に穴を開け、赤玉土を入れただけのものに5cmぐらいの挿し穂を20本ぐらい挿します。2、3cmでも結構根つきます。
あとはこれを100円ショップに売っていたアソ−トトレイなるもの(3枚100円、1枚に豆腐パックがちょうど2パック並べられます。)を受け皿に使って水管理していけば良い訳です。

発根促進剤は使いません。食用植物にはル−トンなどは厳禁のはずですが、一部の本で推奨しているのは困ったものです。

と、まあ このようにして100円で120本ぐらい挿し芽できますが、注意点は絶対にひとつのパックに2種類入れないこと、豆腐パックの側面にマジックで名前を書いておくことです。そして、途中で何本か枯れても抜かないことです。
枯れ木のカビが土に移るようでは水が多すぎです。一度水上げを4時間位すれば表面の土が乾く程度に水管理していけば大丈夫です。密植状態の方が雑菌が繁殖しにくいのです。

ロ−ズマリ−の場合、自己防衛の為に枝の切り口から芳香性殺菌物質を放出していますので、清潔な赤玉土であれば冬場は滅多にカビは生えません。
私の所では、1から3cmの挿し穂を使ってほぼ90%の成功率です

#明確に論文となると私も見たことはありませんが、アルファナフチルアセトアミドの催奇形性の疑いがあるとの報告はEPA等にあるそうです。確かル−トンもトランスプラントンも食用作物への使用は厳しく禁止されているはずです。
ただ、ル−トンの取説にゲッケイジュが載せられているのは困り物です。(ゲッケイジュは食用とは考えていないのかも)
ロ−ズマリ−の挿し穂の切り口から出る芳香性殺菌物質ですが、傷口から特別 な物質が放出されるわけではなく本来ロ−ズマリ−が持っている芳香成分の放出量が増加する方法で殺菌力を増している、ということです。
ジャン・マリ−=ペルトによると多くの高等植物では良く見られる保身の方法であり、自己保全の為にタンニン等の成分の比率を上げる例が多いとのことです。


皆さんは挿し木をする時、土に対してどのように挿しますか?
この挿す角度で発根率が違うのはご存知でしょうか?

挿し木の発根は植物ホルモンのエチレンに影響されます。穂木を斜めに挿すことにより物理的刺激を受けてエチレン生成を増大し、そのエチレンが発根を促進します。一般に発根率の良い植物(キクなど)は垂直に挿しますが、これらも垂直よりは斜め挿しの方が 発根は良くなります。
また、同じ理由によって移植の際も斜め移植を行い、45度にかた
むけて植えると茎の曲ったところから発根し根量が増えることと、地上部の生育が抑制されて丈夫なずんぐり苗になる利点があります。
このように植物が本来持っているホルモンを生長調節剤として上手に利用すれば、ハ−ブには決して使ってはならないル−トンのような発根促進剤(催奇形性を持つので)に手を伸ばさなくとも沢山、挿し木が取れます。

そして、エチレンといえば、リンゴですよね。



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