輝国山人の韓国映画
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▼クァンピル,タルス,サンムンは,スリをするヤクザ少年たちだ。クァンピルは,パン屋で仕事をするエランと幼なじみで互いに好感を持っている仲だ。
▼3人のヤクザ少年は,米軍倉庫をかっさらって,クァンピルだけが捕えられて少年院に行く。クァンピルは,面会に来たエランが酒場で仕事をするという話を聞き,脱獄して彼女を訪ねて行く。
▼エランに会ったクァンピルは,彼を捕まえた刑事を車ではね,再び監獄に入って10年ぶりに出所する。
▼クァンピルは,エランに会うことを期待して出てくるが,その間に送った手紙と小包は,神父になったサンムンが送ったものだった。
▼その間,タルスは,エランと結婚し,キャバレーを経営して暗黒街組織を設けていた。
▼クァンピルは,病院に入院しているエランを訪ね,彼女の9歳になる娘ウンジに会う。クァンピルは,ウンジュが自分の娘だと考えるが,何もできずに挫折する。
▼タルスの組織は,殺害した密輸屋の死体が浮び上がって警察の追跡を受け,タルスの指図を受けたキャバレーマダムは,事業をしようとクァンピルをインチョン(仁川)に連れていって警察に逮捕される。
▼神父の保証で解放されたクァンピルは,エランの臨終を見守ろうと病院に走って行くが,タルスは,クァンピルが警察に密告したとして彼を殺そうとする。
▼血だらけになったクァンピルは,エランの病室に到着するが,すでに彼女は死んだ後であった。
[制 作 年] 1958年 [韓国封切] 1958年1月15日 [観覧人員] [原 題] あなたと永遠に 그대와 영원히 [英 語 題] Forever With You [ジャンル] アクション,メロドラマ,ギャングスター [原 作] [脚 本] パク・ソンホ(朴成浩) [脚 色] キム・ガンユン(金剛潤) [潤 色] ナ・ソウン(羅素雲) [監 督] ユ・ヒョンモク(兪賢穆) [第4作] [助 監 督] [撮 影] ピョン・インジプ(邊仁楫) [照 明] コ・ヘジン(高海振) [編 集] [音 楽] ハン・サンギ(韓相基) [美 術] イ・ボンソン(李奉先) [武 術] [出 演] イ・リョン → チョ・グァンピル ヤクザ少年 ト・グンボン → エラン クムガン(金剛)製パン タルスの妻 チェ・ボン → チョン・ダルス(丁達秀) ヤクザ少年 トンイル(東一)商事 社長 チェ・ミョンス → サンムン ヤクザ少年 神父 キム・ミソン → コ・ユミ → ノ・ジェシン → カン・ゲシク → ナ・ソウン → (羅素雲) チャン・ミノ → イム専務 タルスの部下 チェ・ナミョン → タルスの部下 キム・スンホ → テジ(豚) 受刑者 前科5犯 イ・ビナ → キム・リラ キャバレースワローのマダム [受 賞] [映 画 祭] [時 間] 109分 [観覧基準] 15歳以上 観覧可 [制 作 者] パン・デフン [制作会社] サムソン(三星)映画社 [制 作 費] [D V D] 日本発売なし [レンタル] [H P] [撮影場所] [M-Video] [You Tube] https://www.youtube.com/watch?v=WVhIjNPspV4
[Private ] K-DVD 【75】(5,600-2023/01/15) ○映画資料 映画芸術人 ドキュメンタリー ユ・ヒョンモク監督編(50分)制作:韓国映像資料院 <ママと星と磯巾着>(1995)の撮影風景 映画評論家ピョン・インシクの解説 映画<誤発弾>(1960)の映像(一部) 元老俳優チェ・ムリョンのインタビュー ユ・ヒョンモク監督のインタビュー,講義風景 トングク(東国)大学校 映画科大学院1年イム・スヒャンのインタビュー 第2回釜山国際映画祭に参加したユ・ヒョンモク監督の映像 映画評論家キム・ジョンウォンのインタビュー 映画<人間の子>(1980)の<人間の子> <ママと星と磯巾着>(1995)の映像(一部) 映画俳優アン・ソンギのインタビュー イメージギャラリー ○韓国映像資料院 ユ・ヒョンモク コレクション(日本語字幕あり) あなたと永遠に(1958) 金薬局の娘たち(1963年) 終列車で来たお客さん(1967年) 長雨(1979年) [お ま け] ○韓国映像資料院 ユ・ヒョンモク コレクション より ユ・ヒョンモク映画の形式主義的スタイル アン・ジェソク 韓国映像資料院客員研究員 <あなたと永遠に> ユ・ヒョンモクの作品中,現在フィルムが残っている最も古い映画である <あなたと永遠に>(1958)は,<誤発弾>で満開する前,彼の初期映像美 学を一瞥(いちべつ)できる非常に立派なテキストだ。 <自由夫人>(ハン・ヒョンモ,1956)の制作会社であるサムスン映画社 で建設した120坪余りのサムスンスタジオに大規模セットを作って撮影し たことでも有名なこの映画は,1950年代後半に流行したメロードラマ,特に 男女の恋愛談に暴力や犯罪のモチーフが結合した犯罪メロドラマのジャンル に属するが,セットの規模ぐらい印象的なその特有の精巧なミザンセーヌ (Mise-en-scene,)演出によって,当時のその他のメロドラマと明確な差を 見せる。 まず,この映画で最も目につくミザンセーヌ(Mise-en-scene)の特徴は, まさにセットの構造だ。 当時,話題を集めたキャバレーダンスホール,刑務所,主人公クァンピル (イ・リョン)の独房などのように,この映画の大部分のセットは,「二重構 造」になっていたり,暗黒街のボスであるタルス(チェ・ボン)の事務室, エラン(ト・グンボン)が入院している病院特室などのような広い単層空間 を屋上(ベランダ),事務室(病室),廊下などで幾重にも区画させた構造 で形成されている。 これは,この映画が,当時,タルリとクレーンを自ら制作して使うほど, 装備需給が円滑だったサムスン映画社の作品であり,カメラの移動半径を広 く使えたので,具現することができたスペクタクルだった。 だが,ユ・ヒョンモクは,これを単純にもっともらしさや,おしゃれ用だ けにしておかず,几帳面なコンテに基づいた多様な意味のある装置として活 用する。 例えば,クァンピルに会って病室に戻ったエランが,壁にもたれて泣く場 面で,カメラがゆっくりトラックアウトすれば,テーブルの上に置かれたタ ルスの中折帽が見える。 引き続き,暗いベランダに立っているタルスのショットでカットするが, タルスの後にある窓の枠組みの間で窮地に陥ったようにそわそわしているエ ランの姿がディープフォーカス(deep focus)で見られる。 クァンピルの再登場で,タルスとエラン間の関係にひびが入り始めるこの 場面でのミザンセーヌ(Mise-en-scene)は,このようなセットの構造でなけ れば決して見せることができない卓越した様式美を実現している。 それだけでなく,窓の格子や事務室内のパーテーションアングルなどをか けて撮ったり,ベッドの下あるいは人物の脚の間でとらえた独特の画面構図, コントラストを強く対比させた表現主義的な照明,クレーンとタルリを利用 してセットをあちこち自由に縫う流麗なカメラの動きなども,単に見せる式 の誇示的な技法でない効果的な意味機能をする。 一方,この映画は,フランスの詩的写実主義映画や,ハリウッド フィルム ・ノワールのような外国映画の影響を相当多く受けたことが分かるが,特に みすぼらしいスーツ姿のクァンピルは,一瞬ジャン・ギャバン(Jean Gabin) の姿と重なって,トレンチコートと中折帽を着たタルスも,やはりフィルム・ ノワールの犯罪者の姿ととても似ていた。