鉄格子すり抜け

■ターミネーター2■

LD時代からいったいいくつのバージョンが出ているのかわからないくらいたくさんリリースされているのが「ターミネーター2」だ。そのうちそのうちと思いつつDVDはずっとほったらかしにしてきたのだが,先日ついにパイオニアの最新リリース版(今は2003年6月)を買った。安かったからである。

dts仕様で1,480円也。うーん,昔高価なLD買ったなあ,と思わず遠い目になってしまうプライスだ。とっくに元は取ってるんだろうけどね。

しかし,この映画,面白かったことは確かだ。おおー,と言いながらたっぷり楽しませてもらったものである。キャメロン監督は全部見せなきゃ気が済まないという演出家だから,観客の想像に委ねる,なんて奥ゆかしいことはしない。それはこの映画にも十全にあらわれていて,そこがくどいとかあざといとか感じる人もいるだろうが,エンタテインメントの送り手としては天晴れと言うべきだろう。

加えて,映画への派手なCGの導入ということに関してはキャメロン監督の業績は偉大だと思う。特にこのT2は画期的だったのではないか。液体金属でできた新型ターミネーターT1000の表現の数々は実に刺激的だった。またひとつ,小説やマンガだけのものだったイメージが実現した,と感じ入ったものだ。あれなら「寄生獣」だって再現できるもんなあ。

で,実用域に入った新しいオモチャを「楽しくてたまらん」という感じで使っているこの映画,CGの見せ場はいろいろあるのだが,初めて見たとき思わず「ひゅう」と感服したのがT1000の鉄格子すり抜けのシーンだ。

T1000はどのような形状にも変身できるわけだが,ここでは人間の姿のまま行く手をふさぐ鉄格子をすいっとすり抜ける。直後,持っていた拳銃だけが鉄格子にぶつかってカチャッと音を立てる,という芸の細かさ。上手いねー。

僕はこの瞬間,間違いなく映像新時代を実感した。だからいまだにこのシーンは忘れられない。

今度のDVDではチャプター26の56分37秒あたりから。確認のつもりでちょっと見始めただけなのに引き込まれてしまう。徹底した娯楽作品の精神が爆発している。アメリカ映画はこれでいいんだよねー,と訳の分からん感慨にひたってしまう面白さである。

テレビでさんざん流された映画ではあるが,DVD時代,やはり一家に一枚の常備品?であろう。バージョン違いは意外と気にならない。

ターミネーター2 PIBF-91219
発売元(株)パイオニアLDC