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The list of all Japanese Rush articles音楽専科(Ongakusenka) Feb. 1982Interview with Geddy Lee by 黒沢美津子 |
-----ほとんど、5月のニューヨークでのコンサート・プログラムと同じだったみたいですね。 ゲディ: 2、3曲違うくらいかな。何しろ80年の暮れ以来、ずっとツアーをしているからね。でも今日の観客の反応はよかったよ。アメリカのキッズは一緒に歌うのをためらうからね(笑い) -----今回、初めて『ウェンブレー』でプレイするんでしたっけ。 ゲディ: ウン、前回は5日間、ロンドンの『ハマースミス・オデオン』でやったからね。だから、今回がイギリスでは初めての大会場さ。でも、これは僕たちが決めたものだから。沢山の人が見に来るようになると、どうしても時間が限られると大会場でやるしかないんだ。前回、前々回の全英ツアーには3週から4週間、時間をかけられたけど、今回はもっとヨーロッパをカバーしたかったんで、目標を短くするしかなかったんだ。僕ら、十分な休息はとったんで、大会場でプレイするのも平気だけど、いろんな所をカバーしたいんでスコットランドとかもやっているしね。 -----イギリスではライヴ・アルバムが発売されたんですけど、ラッシュの場合、ライヴ・アルバムを出すたびにしばし沈黙して新たなる方向性を探っていますけど、次回の展望みたいなものはあるのですか? ゲディ: ライヴ・アルバムを出した理由は、あのライヴの音が大好きだからなんだ。前にライヴ・アルバムを出したのはもう4、5年前で、それから僕らもずい分変わったよ。もう1つの理由は、しばし、ツアーから離れる時間が必要になってきたからなんだ。僕ら、1年のうちでも、1、2カ月は完璧にツアーのことを忘れて家族と過ごす休みを取ってるんだ。次の曲を書くためにも十分、休養をとる必要があるしね。ここ2、3年クレイジーに仕事をしていたからそろそろ、人前から姿を消したくなったんだ。 -----でも、今夜、沢山のハンディキャップを負った子供達が、ラッシュの音楽をきいて普通の子供達と同じように叫んで歌っているのを見たときは、胸にジーンときましたよ。 ゲディ: そいつは良かった。本当によかったよ。 -----私、ラッシュの音楽というのはそんな風に人を励ますポジティブはものだと思いますが。 ゲディ: 僕もそう思うよ。ヴァイヴをうまく伝えられることを、いつもトライしているんだ。この世には余りにもネガティヴ(否定的)なものが多すぎるように思うんだ。ネガティヴ・ロック・バンドもね(笑い)。だから、僕らはそのムーブメントの外でグッド・フィーリングで仕事をしたいんだよ。僕らはものを生産できるハッピーな人間だよ。 -----たとえば、ゲディ、あなたのソロ・アルバムはどうなっているのですか? ゲディ: 誰もが、バンドとは別に何かやったらと望むけれど、僕らはもう一緒に15年もやっている。今じゃ、ホームのように親友であり、グッド・ミュージシャンだ。だから、3人共そろそろソロ活動もやってみたいんじゃないかと思う。僕もいつかは他の人ともやるかもしれないけど、それはいつかとかはまだ言えないね。 -----自分の曲を書く時間はあるんですか? ゲディ: 今の所ないけど、将来は持ちたいね(笑い) -----ラッシュは年ごとにテクニックが上達して複雑になればなるほど、精神面ではシンプルにとやっていますが、これからもその方針は貫くのですか? ゲディ: そう‥‥エネルギッシュでエモーショナルになっていくだろうな。ただ未来を予測するのは難しいよ。僕らはアルバムを出すたびに、決して同じアイデアを繰り返さないからね。たぶん、少しは変わっていくはずだけど、具体的にはまだみんなで話している最中だから何とも言えないよ。言えるとしたらシンプルで、よりエモーショナルな面はプッシュしていくつもりだ。僕ら3人とも、かなり野心の大きなミュージシャンでテクニックもあるから、シンプルなものをやった方が、もっと聴きやすいと思うよ。 -----ここ数年大会場でやっているから、大観衆をコントロールするのは学んでいるとは思うんですが、逆にそれは時としてプレイに重圧感を与えませんか? ゲディ: そうだね‥‥大きい会場でやればやるほど、僕の感情に対する重圧感も大きいときもあるよ。でも‥‥仕事として考えた場合、それが大きくても小さくても関係ないと思う。経験を積んでいけばいくほど、いい物が得られるはずさ。 -----つまり、アーティスティック・フリーダムはなかった? ゲディ: そう、確かに僕らは自分たちの音楽をやっているんだけれどもね。でもいつも締め切りを言われる。スケジュールがあるんだ。でもバンドにとっては、歌を作るのももっと自然に出来た方がいい。締め切りなんて必要ないと思うよ。その方が生み出しやすいよ。ここ、2、3作は僕らもリラックスして自然に曲を書けるようになったから、僕らもベターになっていったのさ。だから、これから、2、3カ月休んだ後にならないと、いったいどういう物が生まれるかは何とも言えないよね。 シーンとした楽屋。他には誰もいない。(アレック(注1)もニールもそれぞれ、別の楽屋で個別にインタビューをうけている)ゲディはオフ・ステージでは眼鏡をかけていて、全く普通のおとなしそうな人間に戻ってしまう。しかし、彼は会話を続ける。 「ここ、2年のライヴを撮り続けているんだ。カメラを回しているんだよ。だから82年には僕らのライヴ・ドキュメンタリー映画が公開されると思うんだ。カナダのモントリオール公演は全曲とったんだ。このライヴ・アルバムにしても50曲ほどきいて選曲したんだよ。とっても難しかった。同じ曲で15から20の違うバージョンがあるんだからね。みんなで、いろいろ選んだけど、ほとんどはプロデューサーのテリー・ブラウンに選んでもらったよ。あるものはエモーショナル、あるものはテクニカル、あるものはエキサイティングといった具合で、どれも甲乙つけがたかったんだ。だからみんなで言ったんだ。“テリーやってよ!!(笑い)”ってさ。出来あがったものは凄くよかったよ。僕は初めてのライヴ・アルバムは気に入っていないんだ。きに耐えられないけど、今回のは違うよ。ライヴの雰囲気も音も十分にとれてるよ。とかくライヴ・アルバムはラフに作られがちで、後だときくのは苦しいから、僕らはききやすいように作ったんだ。軽くきき流せるようにね。」 -----たとえば家にいる時はどんな音楽をきいているんですか? ゲディ: いろいろなものをきいているけど‥‥最近はウルトラボックスとか FM とか‥‥あまりクラシック音楽はきかないな。そうだね、最近徳にきいているのは、ニュー・ロマンティクスの部類だよ。 -----ええっ本当? ゲディ: (笑って)デュラン・デュランでしょ、スパンダー・バレエでしょ‥‥僕、ああいうの好きなんだよね(笑い)。 -----面白いですね。あのスタイル、キーボードの使い方なんかどう思います? ゲディ: 大好きさ。特にウルトラボックスね。彼らはテクニカルだよ。彼らのパーソナリティの置き方とかマテリアルはいいと思うんだ。 -----という事は、彼らの新作『エデンの嵐』ということ? ゲディ: そう、数日前に手に入れてきいているんだけど、凄くいいと思うよ。彼らのステージは見た事ないけど、音はすごくいいよ。 -----あなたはベースだけでなくこれからはキーボードももっと駆使していこうとか思ってます? ゲディ: うん、もっと一生懸命やるつもりさ。まだ弾き始めてそんなにたってないから、必死で練習しなくちゃね(笑い)。キーボードを使う事でバンドのこれからの音楽も、変わっていくと思うから。うまくいけばいいんだけど(笑い)。でもキーボードをプレイするのは、僕がオールラウンドなミュージシャンになっていくのに役立つと思うんだ。 -----たとえば、ゲディ、ツアー中どうやって声の調子は保っているのかしら。 ゲディ: ノット・イージーさ(笑い)。2、3日オフをとるとか、1週間休むとかいうスケジュールにしているんだ。僕ら、毎晩、飲むって事はしない。ただ自分で自分のコントロールをしていくしかないな。でも、ツアーは楽しいよ。ただ最近はちょっと疲れぎみだ。1度疲れちゃうと、もうハッピーじゃなくなるし、そうすればツアーも楽しめなくなっちゃうだろう。だから僕らこれからはもっとゆっくり‥‥オフの時間も十分とるよ。でもツアーは大好きだから、一番いい状態で出来るようにしていくさ。そっちの方がずっと楽しくなると思うよ。 -----ラッシュはやはりライヴ・バンドですよね。お客を自分たちの中に引きこんでしまうという点において。 ゲディ: それが一番大切なんだよね。数年前まで、それに気がつかなかった。自分達がただいいプレイすればいいみたいに思っていたけど、どんどんやっていくにつれ、観客が多くなればなるほど巨大なライヴ(注2)を得るようになってきたんだ。僕にとっては、僕が与えるよりも、彼らが与える方がずっと大きくなってきて‥‥そう、交換していくことがとても大切だよ。それがコンサートのエネルギーになるんだ。 音楽の他に、野球が大好きなゲディ。子どもの頃、野球選手になりたかったのだそうだ。 「できたら、息子がなるといいな。別にロック・ミュージシャンでも構わないけどね(笑い)」 彼がまだやってみたいプランは映画音楽だそうだ。彼は映画が好きなので、映画監督と一緒にオーケストラを指示して、映画音楽を作りたいそうだ。 「ツアーこそ、僕の教育なんだ」 と言い切るゲディ。体の続く限り、ツアーはやりたいというゲディ。ラッシュに1度とりつかれると、誰もが何度もステージに足を運びたくなる魅力が、彼らにはある。それを知ってか知らずか、ゲディは一度ステージを降りると、普通の人に戻ってしまう。とても状況に対し、客観的なのがゲディであった。 「僕ら3人共、全く性格が違うけど、みんな同じ希望を持っている。それこそ僕らのグループ持続のコツなんだ。僕らが人生でやれる事、自分達にアピールすることはいつも同じだ。だからたとえそれぞれが違っても、1つのユニットとして集まった時それはまっすぐ一直線に並ぶ。音楽において、一番大切なのは人間愛だからね。」 そう言うゲディを見ているとなぜか別の部屋にいるアレック(注1)とニールまで、彼の隣にいるかのような錯覚にとらわれてしまった。強いチームワークで結ばれているのがラッシュなのだ。 「僕らのステージは、夢の国なんだよ」-----ゲディ・リー。
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